闘病記しか読みたくない

闘病記しか読みたくない管理人「つばめ」のブログです。日本中の闘病記が読みたい。悪趣味だと言われようが闘病記や病気をテーマにした本から感じ取れる生への記録に感動している毎日。本の紹介はネタバレを含みます。道端のポスターの写真等を撮るのも好きです。すべての写真は自分で撮影しているものです。

今日、僕らの命が終わるまで

24時間以内に死亡する人に「デス=キャスト」から電話がかかってくる世界という設定で物語は進みます。死が事前にわかる世界観という設定は面白い。表紙がとても美しいので挿絵もあったら良かったかも。

 

「デス=キャスト」から電話があったマテオとルーファスが「ラストフレンズ」となり友情というか愛情?を育んでいく過程を読むことができます。

 

設定は面白いのですが「本日死ぬ」と電話をするのが「人」という設定がイマイチ。こんなの自動設定で自動音声で発信でいいんじゃない?と思ってしまいその時点で冷めてしまいました…いわゆる死刑宣告みたいなものを人にやらせるのはイラっとします。(喜んでやる人を集めて電話をかけさせるのならばいいのですがデス=キャストのコール担当者は嫌々電話をかけている雰囲気があった)

 

マテオは母はおらず、父が脳梗塞で入院中、ルーファスは里親ホームで暮らす少年でどちらかというと二人とも不幸な分類な境遇のため、デス=キャストからの電話は泣きっ面に蜂状態。

この作品に出てくるメインキャラの女どもはろくな性格ではないので男二人(マテオとルーファス)がくっつくのも無理はないと感じました。作者は女の人があまり好きではない気がする。

 

ルーファスの仲間のチック持ちのダゴエが良い味を出していました。首がしょっちゅう動くのですがチックで首が動いてしまうと「荒っぽく近寄りがたい人間に見えてしまう」と気にしている描写があり実は繊細な人であることがわかります。

 

マテオの死に方はイマイチだったかも…

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今日、僕らの命が終わるまで

著者 アダム・シルヴェラ

訳者 五十嵐加奈子

装画 yoco

発行者 神宮字真

発行所 株式会社小学館集英社プロダクション

2023年3月16日初版第1刷発行

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車椅子・残酷な青春 進行性筋ジストロフィー症者たちの詩文集

筋ジストロフィー患者の詩を集めた本です。

昭和52年発行ながらも完成度の高い詩文集なので今読んでもドキっとする詩が多いです。

筋ジストロフィーという進行する病気の中、健康であったり歩く事であったり、ちょっとした自由であったり、普通の生活をしていると気にもしないようなことを望んでいる様子がとてもわかりました。

 

鹿内香月子さんの書いた「祈り」という詩が素晴らしい。

「一本の鉛筆を握れるだけの力を私の指先にください」

と願っています。

筋ジストロフィーという病気の残酷な部分がありありとわかる詩だと感じました。

鉛筆を握れるくらいの力が欲しいなんて普通の人だったら考えもしないでしょう…

 

詩のなかでも初めは歩けていたり、自分で出来ていたことがだんだんとできなくなる事について冷静に書いている詩も多いので心が痛みます。

 

本のタイトルに残酷と入っているだけあって肉体的に残酷な詩が多いです。

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車椅子・残酷な青春 進行性筋ジストロフィー症者たちの詩文集

編者 ありのまま舎

本文イラスト スーパーニル

発行者 西田幸生

発行所 エール出版社

昭和52年4月30日第1刷発行

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BUDDY バディぼくのパートナードッグ

筋ジストロフィーの少年「ぼく」と介助犬バディの物語。「ぼく」は名前の設定がありませんが物語上は全く問題ありません。

 

バディは美しいゴールデン・レトリバーで「ぼく」の手足となり活躍しています。学校、買い物、遊び、お風呂等、「ぼく」の身の回りで楽しそうに仕事をしています。

介助犬が多くいる外国のお話なので、周りの人達は二人を優しい目で見守っています。

 

巻末には介助犬グレーデルのユーザー、野口利男さんのお話がまとめられています。絵本の主人公「ぼく」と同じ進行性筋ジストロフィーという障害を持っています。グレーデルとの合同訓練のお話や生活について語られていて読み応えがありました。

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BUDDY バディぼくのパートナードッグ 

文 オードリー・オソフスキー

絵 テッド・ランド

訳 よしだみおり

発行者 白井隆之

発行所 燦葉出版社

1996年9月10日第1刷発行

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ペーパーボーイ

舞台は1959年のメンフィス。主人公は11歳の吃音の少年「ヴィクター ヴォルマー」です。話し言葉はもちろん吃音のため自分の名前もスラスラ言えません。

ヴィクターの吃音は最初の音をくり返すタイプではなくやさしい息(sssss…と息をもらしながらそっと話す)を使うと何とか話はできます。

それでも言いにくい言葉は他の言葉に言い換えて会話していたりするので毎日が苦労の連続となっています。

 

ヴィクターは裕福な家庭で両親にも恵まれ(父親は本当の父親では無いですが)家にはお手伝いの黒人のマームもいます。1959年のお話なのでマームも差別されたり苦労の連続だと思うのですがヴィクターに愛情を注いで二人は親友のようです。

 

その後、R・Tという黒人と揉めてしまうのですがこれはヴィクターが悪いかな。

あれほどマームがR・Tに近づかない様注意をしているのに接近したり危なっかしい事ばかりしています。

なんとなくR・Tは発達障害系の障害がある気がします。

 

裕福なヴィクターですが親友の新聞配達をかわりにすることによって個性豊かな人たちとめぐりあいます。

テレビにかじりついていた聴覚障害のテレビ少年のポールとも仲良くなります。

ワージントンさんの奥さんに対する恋心は謎でした…ダメ女が好きなタイプなのでしょうか…??女性目線から見るといくらキレイでもワージントンさんの奥さんに惚れる要素は無かったような気がします…男好きでお酒好きでだらしない…男性はこういう女性が好きなのでしょうか…?個人的趣味なのでヴィクターがどんな女性が好きでも否定はしませんが。

良き大人のスピロさんとの出会いはヴィクターにとって幸せな出来事でした。

知的な大人と知り合えた事は毎日の張り合いになります。

 

吃音というハンデを持ちながら毎日を乗り越えていくヴィクターを応援したくなる本でした。

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ペーパーボーイ

作 ヴィンス・ヴォーター

訳者 原田勝

カバー画 丹地陽子

発行者 岡本厚

発行所 株式会社岩波書店

2016年7月8日第1刷発行

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ららら主義 車椅子で単身オーストラリア留学中!

車いすで単身オーストラリア留学をした寺本らららさんの留学記です。

 

脳性マヒで障害者手帳二級、斜視、和光高校中退という略歴が最初に書かれています。

 

ご自身で留学を決定している割にはわからない事が多い様な…

最初に調べて留学していたら悩まないのでは?という所で悩んでいます。

 

せっかくのオーストラリア留学なのにイベントと勉強だらけで疲れてしまいそうな毎日だな…と思ってしまいました。

いやいや、こういうのが青春なんですね。

若いって素晴らしい。

 

誕生日のサプライズパーティーやカフェテリア、卒業ディナーパーティーなど外国ならではのイベントがとても充実しています。

日本だったらこうはいかないだろうな…

 

お母さまの寺本まなさんは個性がすごい人です。

らららさんが「障害者でなんかうまれたくなかった」

と言うと

「障害者の親になんかなりたくなかった」

と返せる人です。

実際に障害をもった子供を前にしたときにこう返せる親はそうそういないのでは?

でも学校への提出物をびりびりに破くのは酷いかな…

愛されているのはわかるので酷くてもまあ親子だし、と思えるのですが。

 

最後にらららさんは国立バララット大学に進学されます。

凄いですね!

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ららら主義 車椅子で単身オーストラリア留学中!

著者 寺本ららら

発行者 石﨑孟

発行所 株式会社マガジンハウス

2011年9月8日第1刷発行

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鉄道人身事故データブック 2002-2009

タイトル通り電車による人身事故をまとめてある本です。

 

自殺が多いですが転落事故や電車との接触事故などもあります。望み通り自殺で亡くなった人もいれば死にきれずに怪我で済んだ人もいたり自殺者にもそれぞれ運がかかわっていることがわかります。

 

自殺者の動き等も淡々とまとめられています。

「飛び降りてしゃがむ。遺体が散乱し即死状態」

「ホームから飛び降りそのまま軌間内で仰向けに寝転ぶ」

「進行方向を背にして線路内を歩く」

「ホームから小走りで飛び降り」

「頭から倒れこむように飛び込む」

「ホームから飛び込む。巻き込みながら通過」

等、自殺の前後が生々しく書かれているので人身事故の方法にもいろいろあることがわかります。

 

東京に住んでいて電車利用をしていると毎週のように人身事故があるので「また人身事故か…」と思うばかりなのですが慣れてしまうのも良くないですね。

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鉄道人身事故データブック 2002-2009

著者 佐藤裕一

発行 柘植書房新書

2011年7月15日第1刷発行

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愛と死のかたみ 処女妻と死刑囚の純愛記録

死刑囚の山口清人とその妻の久代さんの手紙をまとめてある本です。二人とも非常に頭が良いので読みやすいです。

 

しかしながら全体的に宗教臭がプンプンしていて無宗教の私には読むのが辛い本です。宗教は自由というのはもちろん頭にあるので否定は絶対にしませんが…

 

山口清人はお金持ちのT氏に借金を申し込もうとし断られ、逆上してT氏とその妻、そして無関係の女中までマキ割りでめった打ちにして殺害した男です。三人を殺害している男なので許されるべきではないと考えながら読んでいたので始終腹がたちっぱなしでした。無関係の人を三人をむごたらしく殺害しておきながらキリスト教にすがって魂だけでも救われようなんて図々しいにもほどがある…と思いながら最後まで読むことになります。殺された三人の気持ちを考えると山口清人は許されるべきではない男です。

 

最後の「清人の遺書」が見事なのでこれは何回も読んでしまいました。彼の久代さんに対する愛情は本物だったようです。

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愛と死のかたみ 処女妻と死刑囚の純愛記録

著者 山口清人 久代

カバー絵 荒川じんぺい

発行者 堀内末男

発行所 株式会社集英社

昭和51年10月10日初版発行

昭和52年4月20日3刷発行

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明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私

横紋筋肉腫(小児がんの一種)により21歳で永眠した横山友美佳さんの人生がまとめられている本です。

189センチの恵まれた長身を生かした女子バレーボール選手が治療により人生が崩されていく様子が生々しく書かれています。

 

横山さんは小学生までは中国に住んでおり、日本語が得意ではなかったと書かれているのに見事な文章を書いていて本人の頭の良さがわかります。

 

バレーボールの選手として華々しく輝いていた人生からがんになった後の人生の転落ぶりがすごすぎて読んでいて悲しくなります。バレーボールや勉強などとことん頑張る場面が多くあり、あまり頑張りすぎる人生というのも周りから見ていてつらいものなんだなという事がわかりました。

 

抗がん剤漢方薬での治療が続きますが最後には悲しい結果になります。

 

巻末には親友木村沙織さんからの手紙が掲載されています。

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明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私

著者 横山友美佳

発行者 石﨑孟

発行所 株式会社マガジンハウス

2008年5月22日第1刷発行

2008年6月6日第4刷発行

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