主人公は友子。友子は日記で自分の事を「ウー」と書いています。
お気に入りのウサギのぬいぐるみの「ウー」=自分自身で表現しています。
顔面にできてしまった軟骨肉腫と闘う様子を日記に細やかに綴っています。
日記は全体的に「生きたい」事が書かれていて読んでいて辛い。
壮絶なのは頬にポッカリ空洞が開いたまま生き続けていた事。
ガーゼやマスクで隠してはいたものの、病気のにおいがひどいので休み時間ごとに口をゆすぎに行っています。
休み時間ごとという事はきちんと学校へ行っていたという事…
乙女が左ほおに穴の開いた顔で、ガンのにおいのある状態で学校へ行くことはどれほど勇気がいることでしょうか。
しかもあまり学校生活が楽しそうではない。頬に穴があるため言葉が話せず学校ではじっと隅っこにいるだけ…
読んでいてかわいそうになります。
苦労して入った高校もすぐに病気で行けなくなってしまいます。
がん治療の後に肉片(死んだ組織とかかな?)が口の中にぞろぞろ浮いてくる描写が怖くなります。
友子さんの家はかなり裕福なのでありとあらゆる治療をしていましたが軟骨肉腫には勝てませんでした。
最期に友子さんは軟骨肉腫が進行して頭の中の骨がくずれ、歩けなくなりオムツ生活になります。
もうこれ以上悪くなることはないくらい悪くなって死んでいく…
なんとも残酷な病気だと思いました。
告別式では700人の参列者がいたとか。
友子さんが愛されていたことがわかる一文です。
顔にできた軟骨肉腫と闘う女性の闘病記、というと「愛と死をみつめて」や「若きいのちの日記」が有名なのですが「友子は死なない」も本当に良い本なのでお勧め。
ベストセラーになっても良い本と思っていたのですが知名度があまりありません。
このブログを読んで気になった人は是非読んで友子さんが生きていた事を知ってください。
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友子は死なない (ウーは死なない) ドキュメント17歳・愛といのちの日記
日記 木村友子
編者 島村敬一
発行者 堀内末男
発行所 株式会社集英社
昭和55年9月15日第1刷発行
昭和56年2月25日第3刷発行
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