ありむら有さんが四人の子どもと家族の思い出などを記録している本です。
国立精神・神経医療研究センター病院での出来事がメイン。
元は「国立武蔵療養所」と呼ばれていたので「武蔵」と呼ばれている病院です。
1人目は脳性麻痺のゆきちゃん。仮死状態で出生してから苦労の連続で最終的には在宅となるものの、延命を希望されないご両親の意思を尊重して人工呼吸器をつけず静かに亡くなります。
2人目は小脳失調症の由布子ちゃん。
「もっと複雑な病気かもしれない」と書かれているので小脳失調症ではないかもしれません。
ミトコンドリア病とか、有機酸代謝異常の間歇性発作型と呼ばれる先天性代謝異常症の可能性があると思います、とも書かれています。
在宅人工呼吸療法の開始から五年半たち、九歳の誕生日が過ぎたころ、眠るように静かに亡くなります。
3人目は敦史くん。
はしかにかかった子供の十万人に1人くらいの率で起こる「亜急性硬化性全脳炎 SSPE」の症状があらわれます。
六歳の誕生日を過ぎた頃から症状が現れるのですが、それまでは健康で生き生きとした子どもだっただけにSSPEの状態が辛いです。
21歳と3ヵ月の時に単純気管切開をうけ、一時期は安定するもその後お父さん、お母さん、お兄さんに見守られながら静かに亡くなります。
4人目は晃くん。
武蔵に3歳になったころにやって来ます。
病名ははっきりせず「有機酸代謝異常症の一種」でたいへんまれなものと考えられます、と書かれています。
生まれた時は脳が未成熟で脳性麻痺の疑いがあるとの事でした。
晃くんは16歳(2010年時)となり在宅生活は13年を超えています。
家族に愛されているのが良くわかる旅行写真等もたくさん掲載されています。
4名紹介されている子どものうち三名は亡くなるので悲しい本だとは思いますが在宅で重度の障害がある子供と暮らそうとしている人の励みになる本でした。
子どもたちが家族に愛されている事が良くわかるので掲載されている写真などには悲壮感はありません。
本の裏表紙のフォントが怖いのでコレは止めた方が良いと思います。
幽霊や怨霊が漫画で話すときに使うフォントではないでしょうか…
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きみの いのちの 「証」に
監修者 佐々木征行
文 ありむら有
発行者 村本幸夫
発行所 株式会社ヌンク
2010年9月29日第1版第1刷発行
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