超重度障害児の海くんに愛情をそそぐ家族の絆がわかる本です。
1991年、海くんはお母さんの由美さんが勤める国立病院の院内保育所で水の張ってある洗濯機に転落してしまいます。
海くんが1歳7か月の時に起こってしまった不幸な転落事故です。
もともと健常児で知的な障害もなかったので、この事故がなければすくすく育っていったことが分かっていただけに辛いです。
事故の後、海くんの心臓は30分間も停止していたため脳に酸素が送られず、脳細胞がほとんど死んでしまいます…
感情等もほとんどなく、生きているのか死んでいるのかわからないような人生が海くんのこれからの人生…のはずだったのですが、家族の愛情がひしひしと伝わる物語から人間的な毎日がおくられている事が伝わってきます。
メイクアウィッシュのお手伝いもありディズニーランドへ行って楽しんだり、姉の理乃さんや兄の墾くん、お父さんに声をかけてもらったり、毎日が幸せそうです。
メイクアウィッシュの人の言葉がなかなか厳しい物でした。
メイクアウィッシュは自分で夢が語れる子供が対象なので
「ディズニーランドに連れていきたいというのはお母さんの願望かもしれませんしね~」
というごもっともな言葉もあります。
とはいえディズニーランドに行けて良かったです。
富士山への挑戦は疑問が残りました。
海くんは富士山に登りたいかなあ…?これはお母さんの願望だったかもしれません。
ディズニーランドはキラキラしたり音があったり障害があっても楽しむ事ができると思うのですが富士山への登山は一般の人でも喜びを感じることが難しいです。
実際の写真が掲載されているのですが、ボランティアさんに引っ張ってもらっています。というか引っ張ってもらっているだけ。
きちんと意識があって、体が不自由でも富士山に登りたい、という意志があれば問題ないのですが…こればかりは海くんに聞いてみないとわからない。
私は子どもの頃には山登りなんて全く楽しくなかったのでついついこう思ってしまいます。
由美さんのスウェーデン旅行のお話もあります。
日本と違うことが多すぎますが、今の日本では少しずつバリアが無くなっているのでスウェーデンに少しずつ近くなる日が来ると思いました。
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海くん、生きててくれてありがとう
著者 西原由美
発行者 小桜勲
発行所 株式会社 新日本出版社
2001年11月10日初版
2001年11月15日第2刷
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