ホスピス病棟を舞台にしたノンフィクションです。
小澤竹俊医師と患者のやり取りをまとめてあります。
ちょっと出来すぎている(キレイすぎるやり取りが多い)ので多少のフィクションはあるとは思うのですが読みやすく緩和ケアに関する事も学ぶことができました。
メインの患者は横溝清一さん。六十五歳で胃がんです。リンパと肝臓に転移をしていて厳しい状態なことがわかります。
良い奥様やご子息に恵まれながら緩和ケア病棟で過ごす穏やかな日々が印象的でした。
骨肉腫の十五歳の少女はとても気の毒でした。
病気で人生を諦めている雰囲気が伝わってきます。
「あたし……ふつうの高校生にもどれるだけでいいんだけどな…」というつぶやきが心に刺さります。
すでに下半身がマヒしており、緩和ケア病棟にいるとう絶望的な自分に対してのつぶやきだと思われるのですが自分の余命を悟っている事がわかりました。
最後に横溝さんはお亡くなりになりますが、奥様に看取られながらのとても良い最後で安心しました。
見送った後の横溝さんの奥様が毅然としているのも清々しかったです。
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ぼくたちの生きる理由(わけ) ホスピス病棟405号室
著者 今西乃子
発行者 坂井宏先
発行所 株式会社ポプラ社
2004年11月第1刷
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