主人公はガリガリの16歳の少女アーザ。強迫性障害で自らを苦しめています。
細菌に感染するかもしれない…とビクビクしながら毎日を過ごしています。
ある日アーザは親友のデイジーに付き合う形で大富豪の息子、幼馴染のデイヴィスと久しぶりに再会し、どんどんデイヴィスを好きになっていきます。
でも細菌の事がちらついてあまり積極的になれない…というアーザの苦悩が淡々と書かれています。
車があり、歯列矯正をし、ラップトップがあり、定期的におこずかいがもらえ、優しい母親がいる…とうアーザ。かなり恵まれていると思うのですが「自分は不幸のどん底」というスタンスを貫き通すので周りからは嫌われている様子。
強迫性障害という障害のせいで嫌われているのではなく、卑屈でいじけているアーザは魅力的な人物とは遠い所にいます。
逆に親友のデイジーは明るく正直で、貧乏ながらもイキイキしていてとても魅力的でした。デイジーはスターウォーズ作品をモデルにチューバッカとレイが恋に落ちるファンフィクションでその道では有名作家という設定。
同人作家という感じでしょうか。
スターウォーズは詳しくないのでピンときませんがわかる人にはわかるのでしょう。
そのファンフィクションの中で、デイジーは嫌なキャラ、アーザをモデルにしたアラーヤを想像して作り、ファンフィクションに登場させます。
デイジーは正直にアーザにファンフィクション(アラーヤの事も)を書いている事を打ち明けているので凄い。
大富豪の息子のデイヴィスがお金持ちの息子という設定の割には普通なので、なぜアーザが惚れたのか最後まで謎でした。アメリカ人の好みはわかりませんが大富豪の息子というのは惚れるポイントの一つなのでしょう。
星が好きとかモテ要素からは外れる気がします。
アーザは自分の車をハロルドと名付けて大事にしています。
デイジーとハロルドの中で言い争いをしている時に酷い交通事故にあってしまうアーザ…可哀想です。
物語が進むとアーザとデイジーは水路のトンネルに入るのですが、強迫性障害がある人が腐敗臭のするネズミの走る不衛生な所に入るのでしょうか…??
細菌!細菌が!!と大騒ぎするタイプのアーザがヘッドライトが無いと歩けないような汚い場所を歩いていくのは少し不思議でした。
元々はデイヴィスの父親を捜すという物語だったのですが、だんだん父親捜しから離れていくのがもったいないと感じました。
トゥアタラが亀だったら良かったのに…と思う人は多そうです。
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どこまでも亀
作 ジョン・グリーン
訳者 金原瑞人
発行者 岡本厚
発行所 株式会社岩波書店
2019年4月17日第1刷発行
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