ワンダーの主人公オーガストの身近な友人(ジュリアンは友人とは言えないですが)三人をメインにしたお話です。
いじめっ子のジュリアン、幼馴染のクリストファー、同級生のシャーロットが主人公です。
実際にはオーガストはちらっとしか出てこないのですがトリーチャーコリンズ症候群のカテゴリーにまとめました。
ジュリアンがなぜオーガストを執拗にいじめていたのかがよくわかります。
いじめは絶対にダメですがジュリアンもジュリアンなりに苦しんでいたことがわかりました。
オーガストの顔を見たことで悪夢障害になったジュリアンの苦悩も語られます。
ジュリアンのおばあさんのお話が深いです。ジュリアンのおばあさんも昔に体の不自由な男の子をいじめてはいないものの、トゥルトー(両足がポリオのせいで変形して背中がゆがんでいたためカニというあだ名)と呼んで少し馬鹿にしていました。
結局はその馬鹿にしていたトゥルトーの家族に助けてもらうことによって改心するのですが、おばあさんの辛い過去を聞いてジュリアンが改心する流れがドラマチックでした。
私はジュリアンは最後まで好きにはなれませんでしたが…
クリストファーとオーガストの幼馴染エピソードは微笑ましいです。
あまりにも忘れっぽいクリストファーはADHD?とも思えました。
時間通りに行動できない、忘れ物ばかりする…など。
結局その忘れ物のせいでクリストファーの母親が交通事故にあうのでクリストファーは生活を改める様になったのでハッピーエンドなのかも。
ジュリアンとシャーロットのエピソードと違ってオーガストとのかかわりが多いクリストファーのお話は読み応えがあります。
最後はシャーロットが主人公。
女の子同士の派閥とかドロドロした感じとかが気持ち悪いですが、外国人なので日本人から見たらピンとこない部分もあるかもしれません。ランチのテーブルのお話はイマイチわかりません…行ったり来たりするのはダメなのか…?文化の違い?
シャーロットが気にしているからか、障害を持った人たちが登場します。シャーロットの友人ヒメナの弟はダウン症で、シャーロットは視覚障害のあるアコーディオン弾きのおじいさんと盲導犬が気になっています。
消えてしまったアコーディオン弾きのおじいさんを探したり、真剣に取り組んでいるダンスの事を考えたり、友人関係で悩んだり。毎日がとても充実している事がわかります。
三人の友人(ジュリアンは友人とは言えないですが)の心の中で確実に生きているオーガストの存在感がわかる本でした。
ブラウン先生を持ち上げすぎな所が少し気になりました…
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もうひとつのワンダー
作 R・J・パラシオ
訳 中井はるの
発行者 中村宏平
2017年7月20日第1刷発行
発行所 株式会社ほるぷ出版
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