主人公はあと三ヵ月で十一歳になろうとする脳性まひの少女メロディ。
話せず、歩けず、自分で食べられず、自分でお風呂にも入ることができません。
しかし知能はとても高く学んだことはほぼ一回で覚えられるし、良い音楽を聴くと色を感じる共感覚を持っています。
話せないメロディが「メディ・トーカー」と言う話す事の出来る器械を手に入れたことでメロディの知性が発揮されるようになります。
メロディはメディ・トーカーにエルヴァイラと名前を付けてどんどんまわりの人とコミュニケーションをとれるようになります。
が、メディ・トーカーを手に入れるまでが長すぎる気がしました。
326ページの本文の中でメディ・トーカー(エルヴァイラ)に電源が入るのが148ページです。
もう少し早くメディ・トーカーを登場させていたら序盤のダラダラした部分がなくなってスッキリ読めた気がします。
前半のウキウキした感じのお話から後半のお話への流れは生々しすぎて読むのが辛かったです。
メロディの学校ではウィズ・キッズ・クイズ大会があり、地区大会で優勝するとアメリカの首都ワシントンに行きテレビ放送される大きなクイズ大会へ出場できます。
努力のすえメロディはワシントンへ行けることになるのですが、なんとクイズのメンバーがメロディに無断で勝手にワシントンへ飛び、メロディ不在のままクイズ大会へと出てしまうのです…
同じ飛行機をみんなで予約していたのに早く来て、みんなで朝食を食べ、そしてメロディを置いて先にワシントンへ向かうメンバーが腹立たしすぎました。
メロディに優しかったローズさえメロディにクイズ大会に出て欲しくなかったという事もわかり、メロディの心はずたずたになってしまいます。
ハッピーエンドで終わらないのは仕方ないとしてもこれは酷い…
訳者あとがきで「クイズチームのメンバーに悪意があったわけではない」と書いてありましたが悪意そのものと感じたので訳者の人とは気が合いそうにありません。
これが悪意じゃないなら何?と問い詰めたいです。
残念なのは共感覚についてあまり描写が無かった事。
せっかくの能力なのだからもう少し出てきても良かったかも。
読んだ後に表紙を眺めると水槽から飛び出す金魚の理由がわかります。
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わたしの心のなか
作者 シャロン・M・ドレイパー
訳者 横山和江
発行者 鈴木雄善
発行所 鈴木出版株式会社
2014年9月19日初版第1刷発行
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