吉川理江さんが息子の滉生君の事を書いたブログをまとめている本です。
表紙をめくるとカバー折り返しに「私たちも生き地獄なんです。先生たちにも生き地獄に付き合ってもらいます」といういかにもモンスターペアレントの文字が見えてこの本の方向性がわかる気がしました。
7ページに「なんとか助けたい一心で周りが見えなくなり、モンスターペアレントのように変貌してしまう親の姿をリアルに感じていただきたい」と書かれており、この本のタイトルは「あるモンスターペアレントの記録」とした方が合っているのではと思えました。
おそらく身内に読まれる為のブログをまとめている本だからか読みにくい部分が多いです。(吉川さんをもともと知っている人ならすぐにわかるのでしょうが、本の読者はブログを知らない人がほとんどだと思われます)
登場人物のニックネームが唐突に出てくるので「?誰だこの人?」と思いながら読み進める事になるので読んでいてもストレスがたまります。
たとえば97ページに「王子」と出てきますが108ページで「元主治医」とわかったり、スミスと言う人が最初の方に唐突に出てくるのですが、219ページに「米国の医師免許~」と出てくるのでこのあたりで医師とはっきりしたり…(話の流れで医師だという事はわかるのですがスミススミスとバンバンでてくるので「あなたは誰ですか」と思いながらストレスをためつつ読むことになる)
唐突に出てくる大ボス(A先生)、船長、ヒッキー(現主治医)、猫先生、魔女、王女、トンボ先生、霊の友達…など、ニックネームがなんとなく気持ち悪いワードがそろいます。魔女とか霊の友達とかもはや恐怖。
霊の友達のお話は気持ち悪いの一言。私は霊の世界等は一切信じない派なので、霊の友達がスピリチュアル系の話をしだしたらゾッとしました。犬のお墓の話なんて悪趣味の極みだと思います。犬を愛して自分の庭に埋めている人もいるのに失礼なお話です。
ブログ全体的にグチが多く、事あるごとに医師につっかかったり「病院に殺される」と大暴れしたり、大人げない行動が多いので読んでいて疲れます。自分の息子を愛する気持ちはわかりますが、その愛情を振りかざしてまわりの人びとを大きく傷つけているので滉生君を担当していた医師や看護師は辛かっただろうなと思いました。
ひたすら滉生君の症状が悪くなり、一切良くならずに死んでしまうのでお母さんのメンタルが削られていくのが良くわかる一冊でした。
何回も読み返したい本というわけでは無いけれどモンスターペアレントの記録としてはかなり優秀かもしれない…
最後の滉生君のお父さん吉川敦行さんの「あとがき」が優しく、ほっとして終わったので良かった。
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免疫不全で逝った息子へ 3年と3日の命をありがとう
著者 吉川理江
発行人 石﨑孟
発行所 株式会社マガジンハウス
発行日 2008年12月6日第1刷発行
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