闘病記しか読みたくない

闘病記しか読みたくない管理人「つばめ」のブログです。日本中の闘病記が読みたい。悪趣味だと言われようが闘病記や病気をテーマにした本から感じ取れる生への記録に感動している毎日。本の紹介はネタバレを含みます。道端のポスターの写真等を撮るのも好きです。すべての写真は自分で撮影しているものです。

死亡退院 生きがいも夢も病棟にある

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの轟木敏秀さんを見守る清水哲男さんが書いた本です。

轟木さんを見守る形での本なので全体的に轟木さんが(普通の人であることはわかっているながらも)聖人のように書かれています。

死亡退院はその意味の通り死んでから退院するという事なのですが、悲しい言葉ですね…

轟木さんはお兄さんの「マサユキ」さんも同じ筋ジストロフィーで兄弟そろって同病という母親の苦しみも感じられました。

轟木さんの母親は夫を亡くしたあと、他の男性と生活の為に再婚をするも捨てられ、娘の家に居候をするという肩身の狭い思いをしながらその後生きることになります。母親も気の毒です。

 

時系列が前後する為、話の流れがわかりにくいので読むのに覚悟が必要です。

病気関連の本を読む際には時系列ごとに話が進んでいくと症状等がわかりやすいのですが、この本は時系列が行ったり来たりするので轟木さんがどのような状況にあるかがわかりにくいため読んだ部分を遡ったりしないといけません。

「あいつが亡くなる○○前」という表現もしょっちゅうでてくるので混乱の原因になるのかも…

 

本の最初の頃に「サチコ」さんが出てくるのですが、サチコさんが轟木さんの妻とわかるのがかなり後になります。てっきり妹か姉かと思いながら読んでいましたよ。

255ページあたりからはきちんとサチコさんの紹介が出てくるのでほっとしました。

ただ…このサチコさんは本当に轟木さんが好きだったのかは疑問が残りました。

メル友として轟木さんと出会いすぐ結婚、その後すぐ轟木さんが亡くなり、速攻新しい伴侶を見つけ新しい人生の再スタートを切っています。

サチコさんは病院に来なかったり「仕事」と言い訳で轟木さんの命の火が消えようとしても病院にかけつけなかったり、謎の残る人物でした。

作者にも「二度と(轟木さんの思いでの地に)来ることはないだろうな」と書かれているため愛情というより同情で結婚した人だったのではないでしょうか…

それでも生前の轟木さんはサチコさんによって幸せだったので全く問題ないのですが…

 

作者の清水さんのクセなのか轟木さんの事を「あいつ」呼びしているので「あいつ」がゲシュタルト崩壊しそうでした。

「それはあの夜あいつがいったことだった。私と家人のどちらかがあいつの名前を口にしたわけではないが、あの夜のあいつを同じように思い浮かべていた。あいつは、存在するだけで私たちの人生観を変えてしまった。」

プロローグから「あいつ」だらけでもう「あいつ」が出てくるだけでイラっとしました。(私は「あいつ」「そいつ」「こいつ」とかいう言葉がなんとなく苦手)

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死亡退院 生きがいも夢も病棟にある

著者 清水哲男

発行 南日本新聞

2004年6月10日第1刷発行

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