184センチ135キロの17歳、男子高校生トロイが地下鉄のホームで自殺しようとする所から物語は始まります。
ヤングアダルトにありがちな「ボーイミーツガール」ではなく「ボーイミーツボーイ」なのが新鮮。
トロイの自殺を止めたのは伝説のパンクギタリストのカート。カートに「お前は凄いドラマーになれる」と言われた事からトロイのバンド人生がスタートします。
トロイは自殺願望があり、始終卑屈でイライラするのですが、翻訳が上手くすいすい読めるので最後まで一気読みできました。
カートの性格も苦手なのでカートにもイライラしっぱなしでした。ガリガリに痩せて汚れ、犯罪や薬物に手を出し性格は無茶苦茶。カートに付き合っていけるトロイは相当心が広いです。
カートの生活は不摂生極まりなく、最後には栄養失調と肺炎で入院してしまいます。この現代社会で栄養失調になるのは相当酷い生活だと思います。
全く正反対の二人が歩み寄る様が丁寧に書かれていて読んだ後はスッキリするお話でした。
カートの名前はニルヴァーナのカート・コバーンからとっていると著者の謝辞にありました。彼は自殺しているのでなんとなくこの「ビックTと呼んでくれ」の「カート」も自殺するんじゃないかな…と思いました。
表紙の木村タカヒロさんのイラストがインパクトもあり素晴らしいです。
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ビッグTと呼んでくれ FAT KID RULES THE WORLD
著者 K.L. ゴーイング
訳 浅尾敦則
表紙イラスト 木村タカヒロ
2007年3月31日初版発行
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