表紙はかぎばあさんとにせもののかぎばあさん。違いは左のほっぺたにあるホクロくらいで双子のように瓜二つです。
主人公は飛子(たかこ)。鍵を落としたわけでは無いのにかぎばあさんと遭遇します。飛子は友人のポパイ(山田一樹のあだ名)が鍵を落としてしまったので見つからないかなと下を向いて歩いていたのでかぎばあさんが間違えてしまった様子。
このおばあさんは「にせもののかぎばあさん」なのですが性格は可愛らしく「パーマネントに火がついて」という歌も歌ってくれます。
戦争中にパーマをかけていて、息子にこの歌を歌われた事を語ります。戦争中にパーマをかけるのは気がひけたので息子を叱らなかったというセリフでおばあさんが優しい人だという事がわかります。
飛子がポパイの家に行くと隣の部屋の男性がいました。部屋に入れなかったのでポパイの家の部屋からベランダ越しに帰宅させてもらおうと無断侵入していたので泥棒と間違えられますが…これは犯罪なので警察にそのまま突き出しても良かった気がします。
泥棒をするつもりがなく部屋にはいったから「無罪」を叫んでいた男性ですが「有罪」です。
落としたポパイの鍵は上級生が拾って自宅まで届けてくれました。鍵に自宅住所をかいていたから届けてくれたワケですが…防犯上やってはいけない事ですね。
鍵に住所なんて書いたら拾った人が犯罪に使う未来しか見えない。たまたまポパイの鍵を拾った上級生が聖人だったので犯罪にはならずに済んだのですが。
飛子が帰宅するとほんもののかぎばあさんがいて「罰するまえにしらべよ」という紙芝居を読んでくれます。
王さまの可愛がっていた小鳥キーコが親元に帰り、両親から不老不死の果物をもらって王さまへのお土産にしようとしていました。しかし途中で毒蛇が咬みつき、毒入りの果物となったため、毒入りの果物を王さまに差し出した罪としてキーコの首をはねてしまいました。
その後、捨てられた果物は実をつけ、それを食べた老人が元気になった事から「本物の不老不死の果物だった」という事がわかり王様がキーコを殺したことを後悔するという鬱展開の紙芝居です。
ほんもののかぎばあさんもにせもののかぎばあさんもそれぞれ魅力的な人物として描かれていました。二人の競演があったら面白そうです。
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にせもののかぎばあさん
文 手島悠介
絵 岡本颯子
発行者 黒田丈二
発行所 岩崎書店
1983年8月10日 第1刷発行
2009年11月30日第39刷発行
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