父親の家庭内暴力、DV(ドメスティックバイオレンス)により家出をした「アリソン」が主人公。
アリソンは父親にアイロンを押し付けられ頬に火傷があります。もったいないのは表紙のアリソンの顔の火傷が髪の毛で隠されている事。(ちらっと見えてはいますが)
これ…隠さない方が良かった気がする。表紙でパッとみて「顔にあざがある」とわかったほうがこの本の場合は効果的なのに。
家出をしたアリソンはマーラと言う認知症の女性の家にこっそりと住み「タフィー」として生活をします。認知症のマーラに戸惑いつつも適度な距離を保ち付き合っているアリソンはなかなか達者な性格だと思いました。
現代の小説のデメリット(家出などはすぐ電波などで居場所が見つかりお話にならない)「スマホ」は海で遊んでいる間にリュックと一緒に盗難にあいます。
自然な流れで「スマホ」を物語から排除して物語はアリソンの家出物語となります。
アリソンはマーラと暮らすなかで、悪友ルーシーと会ったり飲んで二日酔いになったり、他人の宿題をしてお金を稼いだりと家出少女とは思えないようなアクティブな生活をしています。
父親の恋人「ケリーアン」もアリソンの父の暴力に耐えかねて家を出てしまいます。ケリーアンとアリソンの仲は良好だったのでケリーアンが家を出たことはアリソンにとっても悲しい出来事でした。
アリソンの父はクズだったのでなぜケリーアンがアリソンの父を愛していたのかは謎…まあダメ男に惚れる女と言うのはいつの時代にもいますから。
DV親父のアリソンの父ですが「猫恐怖症」でもありました。父親のDV対策として猫を飼うという解決法もあったかもしれない…
アリソン含め、ほとんどの登場人物の性格がなかなか悪いので誰一人登場人物を好きになることなく読み終わりましたが若い女性と老女のやり取りが丁寧に書けているので読み応えはありました。
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タフィー
作 サラ・クロッサン
カバー画・カット 星野ちいこ
訳者 三辺律子
発行者 坂本政謙
発行所 株式会社岩波書店
2021年10月28日第1刷発行
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