澤田徳子さんによる児童文学です。
読んでいて「これは児童文学にしては重いな」と思ったので大人向けでも良いかも。
差別意識が高い系のお話が多いので読んでいて疲れます。
「底辺」「不細工」「多指症」「凡人」の人は読むと傷つくかと思われます…
とくに多指症の人はこの本は読まない方が良いです。徹底的に差別されています。
「ウロコ」はリュウのウロコを巡る短編五話で構成されています。
第一話 竜を見た
心を竜に奪われ、鯉を竜にしようと必死に頑張る哀れな男、白蓉の話
第二話 再開
麻薬を売り生活をしているロウレベル(下層民)いわゆる底辺のロトが昔の仲間と再会するSF
第三話 仮面王女
不妊のお妃さまが生んだ世にも醜い顔のセレナ姫のお話
第四話 不帰山物語
多指症で生まれた「さえ」が徹底的に差別されながら酷い目にあう話
第五話 神竜
萩原征二という平凡な画家(絵が描けるのは凄い才能だと思いますが…)が天才の後藤周平に打ちのめされる話
時代や世界がたくさんあるので悲惨ながらも飽きの来ない読み心地です。
「不帰山物語」が報われなさ過ぎて辛いお話でした。
右手が五本、左手が六本という多指症のさやは、気が動転した母親に右手の指を一本切り落とされ、右手が四本、左手が六本という状態で生きることになります。
指の本数が違うというだけで酷い差別に苦しむさや…
両親が亡くなったあとは長者の家にひきとられ、機織りをしてひっそり生きています。
その後は長者の娘のかわりに鬼の生贄にされます。
でも鬼は村の人たちよりも優しくさえを愛してくれていました。
ここでお話が終われば良かったのですが、見事な機を織るさえが惜しくなり取り返しにきた長者によって新たな機織りをさせられた上、両手を切り落とされ結局さやは死にます。
鬼と幸せに暮らしました、めでたしめでたし。で終わった方が良かったな…
多指症に産まれ差別されて鬼の生贄にされて結局は両手首を人間に切断されて死亡って…
悲惨すぎて心に残りました。
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ウロコ スピカの創作文学10
作家 澤田徳子
画家 太田大八
発行者 升川和雄
発行所 株式会社教育画劇
1994年6月15日初版発行
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