宇宙船ヘイル・メアリー号でたった一人目覚めたグレースが滅び行く地球を助ける為に努力する話。
面白いのは仮死状態から目覚めた段階で自分の名前もわからない記憶喪失状態だったこと。記憶喪失の為か気持ちが乱れ過呼吸になったりはするものの、持ち前の明るさから深刻にならず上手く対処するメンタルの強さも魅力的です。
記憶の無い状態で一人で宇宙船で目覚めたらパニックになるか絶望するかになりそうですがグレースは割とポジティブに物事を判断していて読んでいて暗い気持ちにはなりません。
一緒に宇宙船に乗っていた同僚たちを宇宙葬にしたりとシビアなシーンもありますが全体的にグレースがポジティブに奮闘するのでどんどん読むことができます。
なぜヘイル・メアリー号に乗っていたのかも少しずつ明かされて行きます。今は温室効果ガス(地球温暖化の影響)で多少の地球温度は保たれていますが、太陽の温度が下がる事で地球の全生命が滅亡するのを防ぐため別の太陽系まで向かう必要があるということが語られます。
グレースは同じく危機に瀕した別の惑星からきたエリディアン「ロッキー」(グレースが命名)と心を通わせるようになります。言葉がわからない状態から少しずつお互いを理解しあっていくやりとりは微笑ましいの一言。
下巻では謎につつまれた「アストロファージ」が何であるのか解明されそう。
----------
----------
プロジェクト・ヘイル・メアリー (上)
著者 アンディ・ウィアー
訳者 小野田和子
カバーイラスト 鷲尾直広
発行者 早川浩
2021年12月25日初版発行
----------
----------