体が塩になってしまう架空の病気「塩化病」の女性二人から愛された主人公八雲が小説家を目指す話。
稀な病気なのに八雲の生活圏で二人も塩化病が発症しているのがいかにも物語臭くてドン引きしながら読みました。発症者は一人目は母で二人目は将来の妻となる揺月です。
揺月は「男性からみた好きな女性像トップ5」に入りそうなキャラでイマイチ好きになれず…
①黒髪ロングストレートで色白でアーモンド形の目をした美少女(女性で黒髪ロングストレートなんてそんなにいない)
②絶対音感をもつピアニスト(普通近所にピアニストは住んでいない)
③ダメダメな主人公八雲をひたすら愛してくれる(小学生の時から大人になっても好きな人が一貫して変わらないのは不自然)
④八雲の前だけデレデレでエッチ(実はキス魔だった…とかのくだりは気持ち悪すぎて吐きそうになった)
⑤不治の病(美人=不治の病って発想が古い気がする)
⑥いじめに立ち向かう正義感がある
⑦チャチャッと台所にたち「八雲の為だけに」料理を作ってくれる
⑧最後は八雲に介護などの手間をかけさせない為に自らホスピスへ入る潔さ(八雲も多少の介護はしていますが生理中のケアとかしてあげてないと思う)
…等々。
八雲は「女性から見たら嫌いなタイプトップ5」に入るキャラです。
①母死亡のためか隠れマザコン+小説家の父との確執が凄い(主人公あるある、エヴァンゲリオンのシンジくんタイプ)
②ムッツリ(ムッツリ)
③東日本大震災や地震で共感疲労になったり、ひきこもりになったりとメンタル最弱(震災で大被害を受けていないにもかかわらず勝手に疲れ切っている頼りなさ)
④父からの仕送りなどがあり、恵まれた待遇などにもかかわらずそれに気がついていない恩知らず
⑤友人達を雑に扱う(事故で義足になった清水の事をほったらかして電話にもです結婚式すらすっぽかす。普通事故にあった友人がいたらマメに連絡とろうとするのに)
…等々。
先天性四肢欠損症(病名は書かれていません)のミアハちゃんとのやり取りは揺月の優しさを知って欲しい為だけに書かれたシーンだと思いました。
現実にはない高性能義手「アガートラム」でミアハちゃんにピアノの演奏を聴かせるのですが…義手に対して夢を見過ぎな気がしました。
命に限りある揺月が他人のために時間を割いてピアノの練習をする所を見せて揺月の優しさを表現したかったのはわかりますが…
登場人物のほとんどが幻肢痛になっていたのが謎。八雲の母、揺月、清水、そして八雲本人も幻肢痛になっています。
※八雲の場合は四肢を失ったわけでは無く、東日本大震災の出来事でメンタルをやられ幻肢痛の様なものと書かれていました。喪失感に近い?
老衰以外に死に方がキレイな病気というのはほとんど無いと考える方なので体が塩になる病気(臭くない、見た目綺麗で儚い)は死を美しく見せるための作者の考えた病気といった感じで薄目で読んでしまった。これが体が糞便になる、カビになる、腐ってプンプン匂うような病気だったらリアル度がアップしていたかも。
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わたしはあなたの涙になりたい
作者 四季大雅
イラスト 柳すえ
発行人 鳥光裕
発行所 株式会社小学館
2022年7月25日初版第1刷発行
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