デンマークにある脊髄性進行性筋萎縮症のオーセ・V・ハンセン夫人の日常生活の日々をまとめてある本です。
タイトルに筋ジストロフィーと書いてありますが病名は脊髄性進行性筋萎縮症です。
オーセさんは「私は筋ジストロフィーという病気に罹っています」という表現を一貫して使用していたため本のタイトルにも「筋ジストロフィー」と入れている様です。
闘病記や病気関連の本の病名は正しく書いて欲しいと思います。
筋ジストロフィー関連の本で調べている人が実際にこの本を読んだら「脊髄性筋萎縮症」じゃないですか…脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーは全然違う病気ですよね、と思ってしまいます。
作者は「マギー」こと澤田真智子さん。1969年に米国に留学中の時に障害者の生活に目を見張った事をきっかけに1人で三か月のデンマーク福祉現場研修の旅にでる決心をします。実際にデンマークへ行くのは2001年頃なので1969年からずっと障害者の生活を気にかけていた様子がわかります。
駐日デンマーク大使館に23年勤めているエリートなだけあって、いままで障害者とはあまり向き合ってこなかったような描写があちこちみられますが一人でデンマークへ研修に行く勇気は素晴らしいと思います。
オーセさんは1944年3月19日生まれで二歳まで乳児院のような所で育てられます。
13歳頃に体に不調があらわれましたが19歳で病院の厨房で働きます。それでもだんだんと病気は進行しついに自力で立てなくなり仕事を続けられなくなります。その後は座ってできる仕事を選んだ後に23歳で結婚。
24歳の時に長女ブリットが生まれ、26歳の時に次女のスターンが生まれます。この時には日常生活活動に支障がでるほど障害が進み夫も育児の為仕事をやめ生活保護生活となります。
2人の娘は病気を受け継がなかった様子ですが夫とは離婚しています。
オーセさんの人生は苦労の連続です。
全体的に「デンマークは素晴らしい!!素晴らしすぎる!」「日本はダメ、全然ダメ」という「デンマーク上げ、日本下げ」が延々続くので日本が好きな人は読んでいてムッとするかも。
日本の福祉が遅れている事は事実なのですが…
デンマークの福祉に興味がある人におすすめです。
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筋ジストロフィーの女性オーセの輝き 福祉の国デンマーク体当たり研修記
著者 澤田真智子
発行者 瓜谷綱延
発行所 株式会社文芸社
2004年5月15日初版第1刷発行
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