主人公は中学一年生の柏崎悠太。吃音で苦しんでいます。
作者自身も吃音と書かれています。
物語は悠太が中学校になって自己紹介をする所からはじまります。
自己紹介の時に悠太はうまく話す事ができず「わざと」胸が悪くて(具合が悪くて)…と保健室に逃げ込んでしまいます。
この自己紹介で「自分は吃音があってつっかえないと話す事ができない」
とはっきり言っていればこの物語は11ページで終了でした。
中学生なんだからクラスメートもいままで一人くらいはクラスに吃音の子がいただろうし「そうなんだー」とみんなあまり気にしないと思うんですけど…
現代っ子って吃音が少ないのでしょうか?
悠太が吃音と知ったのは三か月前と書いてあるので小学校六年生で知ったことになります。
いくらなんでも現代のネット社会で六年生で吃音を知るとか情報弱者すぎませんか?
しかもお母さんが私立病院の看護師なんですよ。
看護師が吃音の事を知らないはずがないのになぜ悠太に教えてあげなかったのか…
良いお母さんぶっているけどこのお母さんは実は悠太の事が好きでは無いのかもしれない…と思ってしまいました。
自分の息子が話すのに苦労しているのに吃音という症状があることすら教えないってありえなくないですか?
そして美少女の古部さんと会うことになります。
この古部さんの美少女設定は必要なかったかもしれない…
彼女も昔吃音でアニメオタクでいじめられて苦しんでいたので吃音の悠太と仲良くなりたい、悠太以外の人を排除したいと物凄いメンヘラぶりを発揮しています。
すこし怖いタイプ…
そして椎名先生の授業方法の変更も謎でした。
吃音の生徒がいるから生徒をあてない指導に切り替えています。
いや…そんな必要ないでしょ…と思ってしまいました。
椎名先生の授業だけでなく中学生の授業は他の科目もあるのに椎名先生の授業だけ人があてられない授業って不自然すぎます。
お姉さんの演劇部の内容も不自然でした。
お姉さんは顧問の先生の作った言葉がつっかえてうまくしゃべれないキャラクターが出てくる台本を変えて欲しいと訴えます。
何度も何度も訴えてもダメなので自分がそのキャラクターを演じて台本通りではなくスラスラしゃべって劇を中断させています。
演劇の舞台を中断させる役者は役者失格だと思っているので演劇部のみんなが怒るのも無理はないと思いました。
お姉さんも顧問の先生に「弟が吃音で苦しんでいるのでこういうキャラクターを出すのは控えてほしい」とか「吃音を持っている人を笑うなんて差別につながる」とかあれこれ言ってたとえ何回も先生にダメと言われても台本そのものを最初から使わないようにしたらよかったのに。
古部さんの吃音の克服方法は謎でした。
アニメキャラクターになりきったら吃音が治っていたのならば古部さんの吃音は心の問題だったのではないかなと思いました。
アニメキャラになりきってセリフを言って吃音が治れば苦労しないよ。
なんだかこのお話は良い人は本当にいい人、ダメな人は本当にダメなので読んでいたら疲れました。
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僕は上手にしゃべれない
著者 椎野直弥
発行者 長谷川均
発行所 株式会社ポプラ社
2017年2月第1刷
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