小学校6年時の修学旅行に参加したランスがクラスメイトと協力してハチ人間と闘うホラーサスペンスです。
タイトルに「ぜったいねむるな!」と書いてある時点でネタバレなのですが、眠ってしまったら目に見えない「毒の様なモノ」が人間と反応し、起きたらハチ人間に変身してしまうという「縛り」が上手く主人公の設定と絡められています。
主人公のランスは睡眠時無呼吸症候群のため酸素ボンベタイプのCPAP(シーパップ※呼吸を助けるマシン)を修学旅行に持ち込んでおり、このCPAPを友人達と順番に使い睡眠をとりつつハチ人間と闘う事になります。
ランスは自分が睡眠時無呼吸症候群であることと、母親がクローン病であることを「みんなをビビらせたくなかったから」と友達に黙っていたのですが、外国人(イギリス?)は睡眠時無呼吸症候群やクローン病の人にビビるんですかね?原書だとどういう表現になっているのか気になる…たとえば「恥ずかしかったから」とか「気を使わせたくないから」とか「かわいそうと思われたくなかったから」ならデリケートな小学生時代を考えたらわかるのですが…「ビビらせたくなかったから」って外国人ならではの考え方なのでしょうか?
こういった子供達だけでトラブルに巻き込まれるお話は「スマホ使って助けを呼べばいいじゃない」と思うのですが、スマホや携帯電話は序盤のうちに「圏外」となり速攻使えなくなります。現代のトラブルものはまずは「スマホを使えないようにする」事が大事になります。(昭和のお話の場合は電話線を切るだけで良かったのですが…)
父と母がプレッパーのマックが良い味を出していました。サバイバルするためのシェルターを実際に作ってサバイバル技術をマックに教えていたおかげでマックはハチ人間と闘う事になっても冷静に対応しています。
ハチ人間と闘う解決策はイマイチ…クマムシの入った苔を食べさせたらなぜかハチ人間から元の人間に戻るのですが、謎過ぎる展開…そんなにクマムシは万能な生きものではないような気がする。
オチもなぜか「貧乏と思われていた」ランスが「豪邸」に住んでいてみんなが驚く…というどうしようもないオチ。ランス実は金持ちエンドは不要だった気がする…
なぜハチ人間が地球にいたのか等は全く語られなかったのでモヤモヤが残る終わり方です。
最後までトレントとチェッツが好きになれなかったですが子供達だけで順番にCPAPで睡眠をとりながらハチ人間と闘う…という設定は読み応えがありました。
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キケンな修学旅行 ぜったいねむるな!
作 ジェニファー・キリック
訳 橋本恵
装画・挿画 おとないちあき
発行者 中村宏平
発行 株式会社ほるぷ出版
2021年7月20日第1刷発行
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