主人公は15歳の少年ケヴィン。
テーブルの下にもぐって出てきません。何年も話さず職員もケヴィンの事があまりわからない状態です。
そんな中、作者のトリイ・ヘイデンさんはケヴィンと会うのですが…ケヴィンの性格は好き嫌いが分かれそうです。私は苦手でした。
ケヴィンは面倒くさいタイプ。何かにチャレンジ→失敗(もしくは後退)→何もできずに時間だけが過ぎる→何かにチャレンジ→失敗(もしくは後退)→何もできずに時間だけがすぎる→という流れが淡々と続きます。
正直読んでいて「もうケヴィンをまともな子供と同じようにするのはあきらめた方が良いのでは…」と何度も何度も思いました。
いくら仕事とはいえこういう子どもときちんと向き合う事のできるトリイさんは凄い。
何回も何回もケヴィンの事で心が折れているのでストレスが凄そうです。
選択性無言症はどうやら父親と母親への恨み辛みが引き金の様です。
人間の心って複雑なものですね…
ケヴィンの義父はろくでもない人でしたが母親もろくでもない人なのでこの親もカウンセリングが必要なのでは…と思いました。
おしゃべりなチャリティという8歳のネイティヴ・アメリカンの女の子が登場したのが対照的です。
トリイがチャリティのビッグ・シスターになっているのですが、仕事で子供に付き合い、プライベートでも子供に付き合うトリイの体力が凄いです。
このビック・シスターシステムは日本ではできないタイプのプログラムだと思います。
ケヴィンの素晴らしい才能として「絵」がありました。
小説なので絵が実際には掲載されていないのですがものすごくリアルで美しい絵だという事がわかります。
最後はあまり絵に関係のない終わり方をしたのでその後のケヴィンが絵の才能を生かした職業につけたのか気になりました。
ケヴィンは自分の事をブライアンと呼んで欲しそうにしているのにかたくなに呼ばないトリイの気持ちがイマイチわかりませんでした。
すぐにブライアンと呼んであげて欲しかった。
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檻のなかの子 憎悪にとらわれた少年の物語 トリイ・ヘイデン文庫4
著者 トリイ・ヘイデン
訳者 入江真佐子
発行者 早川浩
発行所 株式会社早川書房
2005年1月15日発行
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