ショーン・タンさんの絵本です。
表紙は資料をもって立っているセミ。名前はありません。
17年間昇進もなく、会社のトイレも使えず残業させられ意地悪をされ、嫌な事ばかりがセミの日常です。
定年になっても送別会も無く、握手もなく、自分の机を掃除させられます。
定年で仕事もお金も無くなったセミはビルの屋上にあがり、大人のセミに変身してあくせくこれから働くであろう人間たちをあざ笑い空を悠々飛ぶ…という逆転劇で終わります。
この絵本はセミの色に騙されました。表紙のセミを見ると緑色なのですが私はセミの幼虫は茶色と思い込んでいたので成虫(大人)のセミが働いているかと思っていました。
ビルの屋上に上がり飛び降りようとしているセミの絵があるのですがセミは飛べるし飛ぶんだろうなと思っていたらいきなり脱皮がスタートしたので驚きました。
最後はたくさんの脱皮したセミが空を飛んでいる絵。
もしかしたらみんなパワハラにあっていたのかもしれません。
この中に一匹でも幸せに人間界で暮らしていたセミがいれば救われるのですが…
巻末には松尾芭蕉の「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」が掲載されています。
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著者 ショーン・タン
訳者 岸本佐知子
発行者 小野寺優
発行所 株式会社河出書房新社
2019年5月30日初版発行
2019年6月30日2刷発行
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