近未来の医療をテーマにしたフィクションです。
ある日目覚めた17歳のジェンナは上手く歩けず、記憶が曖昧で昔を思い出せない状態です。
自分は普通の人間だと思っていたジェンナは実は事故で死に、脳の10パーセントしかないのにも関わらず人工的に体を作りよみがえったことから人生がはじまります。
骨格は複製で、筋肉はバイオゲル(この本の中での再生医療に使われる物)、動作のほとんどは骨格内のデジタル信号を通して行われます。
脳は10パーセントしかないために前の脳をスキャン、アップロードされています。
ジェンナの復活は実は違法であることがわかり家族は郊外に引っ越してきます。
ジェンナの性格があまり良くないので最後まで好きになれませんでした。
パーティーに行くために免許を持っていないジェンナが無断でカーラとロックに車の運転をまかせたことから事故に合います。
未来なので事故に合うのは不自然だと思われないように、一応「音声プログラム」というものにジェンナが登録していない事も語られています。
おそらくこの「音声プログラム」でジェンナが運転していたら何かしらオートで運転され事故にはあわなかったはず。
結局は運転に不慣れなカーラがアクセルとブレーキを間違えたために崖から転がり落ちてカーラ、ロックは死亡します。
パリピを気取って無免許運転(運転したのはカーラですが)、結局事故にあう→自分だけ生き返る→なぜ自分だけ生き返らせたのだ!!とギャンギャン怒るジェンナにイライラしました。
父親と母親もジェンナを甘やかしすぎているしそりゃジェンナもわがままになるさ。
ラスト260年後になります。
なんとジェンナはあれからずるずると生き続け、同じように復活した親友のアリーズと共に年もとらずに生き続けています。
再生医療の基準となったジェンナは「ジェンナ基準」という言葉も生み出しました。
10パーセント脳が残っていたら人間は復活できるようになりました、というオチが付きます。
怖い終わり方になりました…これだと病気になった人はさっさと手術をうけて新しい体を手に入れますよね。年もとらず若いまま生きられるなんて最高じゃないですか。
しかも脳のアップロードなので見た目なども自分好みに変えられるし。
ジェンナの父、母、お婆ちゃんなどはこの手術は受けなかったのでしょうか。
私だったら受けるかも…
モヤモヤが残ったまま物語は幸せそうなジェンナと息子のカイラにクローズアップされて終了。
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ジェンナ 奇跡を生きる少女
著者 メアリ・E・ピアソン
訳者 三辺律子
発行者 山川史郎
発行所 株式会社小学館
2012年2月13日初版第1刷発行
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