子供向けの児童書なのにはじまり方が生々しいです。
主人公の男性は勤めていた会社をクビになりアパートを追い出されます。正真正銘の一人ぼっちということで親族や兄弟など頼れる身内もいないことがわかります。
たいていの児童文学の主人公は家族に恵まれ家にも恵まれ…という待遇が多いのですが主人公男性はいきなり何もかも持っていない不幸のどん底からのスタートです。
そこでかわいいおばけのおーちゃんと出会い心温まるやり取りを繰り広げます。おーちゃんは気が弱く人を驚かす事がなかなかできないのでいつまでたっても小さなおばけのままなのがやきもきします。
おばけが人の悲鳴を食べて大きくなるという設定が面白いです。
男性はおーちゃんに悲鳴を食べさせようと、友人を酔わせ、そこでようやくおーちゃんは友人を驚かすことができました。二人ともかなり飲んだ様子で二日酔いでがんがんする頭をおさえながら洗い物をする所が可愛らしい。
最後は同じくおばけが見える女性と出会ってほのぼのエンド。
長所も個性もないつまらない女性だったので、どうせならおーちゃんと主人公男性のみで話を進めて欲しかったかも…
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おばけのおーちゃん
著者 市川宣子
画家 さとうあや
発行 株式会社福音館書店
2002年5月25日初版発行
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