表紙はビル群にたたずむブラック・ジャック。様になっています。今回もブラック・ジャックは患者さんに振り回されています。
第1話 「白い目」
肺塞栓の患者を手術するブラック・ジャックですが白い目で見られるブラック・ジャックが気の毒になるお話。
第2話 「土砂降り」
患者の気管切開の際に必要なメスをある男性から借りたお礼のためにガスも水道もない島に来たブラック・ジャックが律儀なお話。男性は亡くなっていましたが妹の女医さんと絡むことになります。集団食中毒に翻弄する女医さんが美しい。
第3話 「とざされた記憶」
記憶喪失のヒゲオヤジが記憶を思い出したことにより危険な行動に出る所が怖い。
第4話 「けいれん」
過去の開放性弁状気胸の記憶から苦しみを思い出し苦しむブラック・ジャックを山田野先生が救うお話。数少ないブラック・ジャックの味方が出てくるので嬉しい。
第5話 「イレズミの男」
腎臓がんの男性が見事なイレズミを持っていた為ブラック・ジャックが手術に気を遣うお話。
第6話 「侵略者」
ウィルムス腫(漫画だとウィルス腫)で一週間の余命の少年サトルをブラック・ジャックが助けるお話。サトルの病名をしりよそよそしくなってしまった母の気持ちがよく表されていました。
第7話 「浦島太郎」
植物人間だった少年を起こしてしまったため老衰で死亡させてしまうブラック・ジャックとキリコがショックを受けます。安楽死に前向きなキリコですが老衰で亡くなってしまった少年を思い落ち込んでいる姿がリアルです。
第8話 「身の代金」
誘拐犯が誘拐をした少年の明に愛情を見せるお話。誘拐犯は腕を固くしばりすぎてフォルクマン拘縮で左腕切断となりますが蜂窩織炎で苦しむ明の心配をしていて根はいい人という事がわかります。誘拐は罪ですが明のトラウマにならなくて良かった。
第9話 「落としもの」
横隔膜ヘルニアの妻を助けたい夫の愛が感じられるお話。自らただ働きになるブラック・ジャックの優しさが良い。
第10話 「おばあちゃん」
ニーマン・ピック病の息子の手術代を払い続けた女性のお話。ブラック・ジャックの他にも高い手術代を取る医師がいることに安心感。支払いが終わった際に気が緩み脳溢血で倒れたおかあさんの手術代を次は息子が払うことになります。手術代を払ったか払わなかったか気になる終わり方。
----------
----------
著者 手塚治虫
発行者 三木章
発行所 株式会社講談社
1982年10月20日第1刷発行
----------
----------