表紙は美しい青空と山、そして123便。まだ垂直尾翼があります。
クライマーズ・ハイは実際の事故である日本航空123便墜落事故をテーマにした小説です。
主人公の悠木和雅が未曾有の墜落事故に奮闘する物語ではあるものの、とにかく悠木の性格が受け付けない。
ギャーギャーどなったりする描写が多いので疲れます。
悠木は劣等感の塊のような男で、親が体を売って自分を育ててくれていたのにもかかわらず親を見下したり、自分の子どもに理不尽な暴力をふるったり、落とさなくても良いスクープを落としたり、他人の子どもを自分の子どもと和解するためのダシにつかったり、自分の感情で批判の殺到するであろう読者投稿を掲載すると言い切ったり…人格が苦手すぎる。
主人公あるあるではすまされない性格の歪みがあります。
苦手な性格ではあるものの、テーマが日本航空123便墜落事故なので気力で読みました。事故の状況が少しずつわかる描写はさすがです。
でも出てくる登場人物が全員苦手なタイプでした。
悠木の同僚も癖がある人物すぎて誰一人好きなキャラができませんでした。
新聞社に勤めるとぎゃんぎゃん騒いだり怒鳴ったりするスキルが磨かれるのでしょうか…
パワハラ・セクハラ・女性見下しが当たり前のように出てくるのも苦手。
所詮新聞社にとっては飛行機の墜落事故はお話のネタなんだな…と思いながら読みました。
唐突にでてきた望月彩子の文章もイラっとしました。
この望月彩子がかまってちゃん過ぎてものすごく嫌い。
遺族の気持ちを逆なでするようなことを書いて、新聞に掲載されると「私…とんでもないことを…遺族の方に申し訳なくて…」とべそべそ泣いています。
望月彩子には新聞記者を目指して欲しくないなと思いました。
最後は仲の良かった安西の息子の燐大郎が悠木の娘の由香に結婚を申し込んで終わり。
ふわっとしたハッピーエンド風で終わったのが無性に腹立たしく感じました。
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著者 横山秀夫
発行者 飯窪成幸
発行所 株式会社文藝春愁
2006年6月10日第1刷
2017年10月25日第27刷
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