乳腺症から乳がんとなった古門富美さんの手記です。
1965年出版の闘病記なので内容が古いのですが治療などが現在とかなり違うので興味深く読むことができました。
この時代の乳がん(というよりがん全体)は「死」をイメージするものであるため古門さんは延々と「死への恐怖」に振り回されています。
タイトルに「ある女性の生と死の記録」というタイトルから想像して古門さんは亡くなってしまうのかとハラハラしながら読みましたが最後に古門さんは元気になります。逆タイトル詐欺です。良かった。
乳がんで胸を削除する感覚が現代とかなり違います。胸を一つとったあとは自分の女性としての価値がどん底にまで下がる感覚が延々と語られます。
現代の考え方だと乳がん手術の後でもイキイキ生活できることがわかっているので胸削除手術の後の自分を下に下に語るあたりは読んでいてキツイものがあります。
古門さんは夫、娘、義母に恵まれあたたかな家庭環境での闘病生活を送っているのが心の支えになっています。
神戸新聞の記者ならではの着眼点から手記を書いているので当時のがんに対する状況がありありとわかるので勉強になりました。
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この生命ある限り ある女性の生と死の記録
著者 古門富美
カット 保志香
発行者 大和岩雄
発行所 大和書房
1965年6月25日初版発行
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