主人公は岡本勘太郎。CMが大好きでCM制作に明け暮れる充実した毎日を送っています。
CM制作は目が命なのですが、その勘太郎が網膜色素変性症になりだんだんと視野が狭くなって悩み苦しむ…というお話です。
勘太郎がかなり恵まれているタイプの主人公なのであまり感情移入はできませんでした。
優しい母、寡黙だけど勘太郎を愛す医者の父、金銭的余裕あり、都内庭付き一戸建てが実家、同僚にも恵まれている、好きな仕事ができている(オリンピックのコンペに参加できるような大きな会社勤務)…等々、恵まれ過ぎています。
順風満帆の中の突然の網膜色素変性症なので勘太郎にとっては悲惨な出来事ですが、読者的には「今まで恵まれ過ぎていたもんな」と思ってしまいました。
気になったのが勘太郎のお気に入りのCMやお気に入りの曲がことごとく古い事。
「勉強しまっせ引越しのサカイ」「24時間闘えますか」「ハウスバーモンドカレーだよ」等は大昔のCMの印象なのですが…
XJAPANの紅が好きというのも古すぎる。
せめてもう少し新しいCMや曲のチョイスをお願いしたいです。
オチとしては尊敬していたオザワ・ケイスケが勘太郎を引き抜いてラジオのプロジェクトを任せられます。ラジオ放送作家としての道が拓けてこれからも頑張ろう、という前向きなさわやかエンドでした。
父親と最後は代々木公園を走る約束をして終わります。病気以外は恵まれた主人公でした。
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それでも、僕は前に進むことにした
著者 こかじさら
カバーイラストレーション コバヤシヨシノリ
発行者 箕浦克史
発行所 株式会社双葉社
2020年3月15日第1刷発行
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