出生前診断で障害の無い健康な子が生まれるはずが実際はダウン症の子が生まれてしまいました…という絶望感が凄い本です。
出生前診断はやりたい人はやればいいし、結果がわかって中絶するもしないも本人の自由だと私は思います。
人の考え方はそれぞれ違うのでさすがに口出しはできない分野です。
でもこの本の場合は思っていた内容と違っていました。
ダウン症の子供を持ちたくなかった母親が出生前診断をして、誤診の為に生まれたダウン症の子供が現在でも「生き続けている」と思っていました。
が、実際には生まれてすぐに不幸にも亡くなっています。
母親はダウン症だった場合は絶対とは言えないが中絶するであろう…と考えていたので、子どもが亡くなった事で言い方は悪いけれど望み通りになったのでは…
こんなことは考えては駄目な事なのかもしれませんがいろいろ考えてしまいます。
「死んだなんてずるい。死んでくれたなんて羨ましい」
と同じようにダウン症の子供を持つ女性が発言していて、このようにダウン症の生き続けている子供がいる母親が訴訟を起こしたのならなんとなくわかるのですが。
「本当は、あの子に会えて、あの子の顔を見られて、私は良かったのかもしれません」
という母親のセリフで救われた気になりました。
無脳症の子の話、強制不妊の女性の話、18トリソミーの赤ちゃんを見捨てた母親の話もインパクトがあります。
どれも考えさせられる話題なのですが、無脳症とわかっていて中絶しない母もいるんだな…と感動してしまいました。
18トリソミーの赤ちゃんを見捨てた母は人として怖い。
出生前診断は今後どうなっていくのでしょうか…
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選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子
著者 河合香織
カバー装画 中島梨絵
発行者 鈴木洋嗣
発行所 株式会社文藝春愁
2018年7月15日第1刷発行
2018年10月15日第2刷発行
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