親子三代で動物と話せる女の子、エヴィー・トレンチが主人公。
このお話はとにかく設定が盛り過ぎていて読む人を選ぶかもしれない。
読んでいてものすごく「作られたお話」というニオイがします。
以下盛り過ぎな設定 ↓
①親子三代動物と話せる「ギフト」を持っているエヴィー(ギフトの中でも特に強力な力がある)
②動物を利用しようとする悪人モーティマーと闘う
③母は悪人に間接的に殺される(実際には毒グモに殺される)
④地球温暖化、海面上昇、海洋酸性化、海洋プラスチック、環境問題を扱う
⑤動物の絶滅問題を扱う
⑥親友だったレオノーラとの決別と仲直りといじめ問題(レオノーラの両親はユーチューバーで父は犬アレルギー)
⑦母親が動物園を経営している男友達のラメシュ(読み書きに障害があるディスレクシアでヴィーガン)とのやりとり
⑧エヴィーと同じく動物と話せる「サム」のアホぶり(ライオンの檻に入ったり悪人にそそのかされたりイライラする)
⑨エヴィーの出生の秘密(実はイギリス生まれではなくエクアドル、テナ生まれで元々の名前はイザベラ・エバ・ナバロ)
244ページの中で①~⑨の設定がこれでもかと盛り込まれているので「④環境問題」と「⑤絶滅問題」と「⑥親友レオノーラとのやりとり」と「⑨エヴィーの出生の秘密」は無かった方がすっきりしたかも。
「ギフト」で動物達と話せるエヴィーやモーティマーやサムの力ですが、動物が人間みたいに思考しているので不自然でした。喜怒哀楽などのわかりやすい思考ならまだしも動物たちの会話が「人間臭い」ので「動物ってここまで考えるのかな?」と思ってしまうともうダメです。
現代の文学のネック「スマホ」ですが、助けが必要な時には「電波が届いていない」いわゆる圏外になっていました。タイミングよく圏外になるスマホが哀れ…
可哀想だったのはラメシュの母が経営していた動物園が閉まってしまった事。ラメシュにとってはエヴィーとの出会いはデメリットだったのでは…(ラメシュは気にしてはいませんでしたが…)
盛りすぎ設定だったので「これはきっと数巻に渡って話が続くんだろうな」と思っていたら意外ときれいにお話が終わったので驚き…
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エヴィーのひみつと消えた動物たち
作 マット・ヘイグ
訳 宮坂宏美
絵 ゆうこ
発行者 中村宏平
発行所 株式会社ぽるぷ出版
2021年9月25日初版第1刷発行
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