主人公は五年生の美貴。DVで夫と離婚しシングルマザーとなり忙しく働く母に代わって家事や料理を頑張っています。
貧乏ながらも清く生きている美貴と弟の勇希に対して母はちょっとイライラする性格でした。
自分の体調管理もろくにできず、そのせいで仕事を休み、お金もあまり入らずますます貧困になり、美貴に家事などを全部押し付け、優しさをふりかざし子供たちを縛っているように感じました。
この母は「優しい」だけで子供たちの為にならないタイプの母です…
(本では優しいお母さんが良いお母さん風に書かれていますが子供たちにここまで我慢をさせる母は見えない虐待をしているのと同じです)
母が「お母さん情けないなあ、あなたたちを十分に幸せにできなくて」と美貴に言うのですが、美貴は絶対「違う」と言わないことがわかって「わざと」言ってると思いました。
もちろん美貴は「とっても幸せだよ」なんて口が裂けても言いませんでしたが…
母は貧乏なのに子どもの頃にころんで右足を怪我をしてから右足が痛いという事をふりかざして長く働くことは絶対にしません。
真夏にクーラーもかけず、スーパーとの寒暖差でおそらく風邪をひいてしまうのですが病院へは行こうともしません。結果的には風邪、もしくは熱中症が長引いて長く仕事を休むことになるのでさっさと病院には行ってほしかった。三割の医療費を一回払った方が長期に仕事を休むより安くなるのにね。
救いは勇希の友達の大ちゃん。潔癖症ではあるものの勇希にとても親切にしてくれます。大ちゃんは勇希達とは逆で母がおらずシングルファーザー家庭という事がわかります。
キャベツがしょっちゅう出てくるので食べたくなります。ただ、お金が無いなら無いなりに工夫すればもっとお腹いっぱい食べられるのでは?と思いました。百円均一に行けば大量にはいった「切り干し大根」「わかめ」「にんにく」「調味料」「パスタ」「クッキー」などがすぐに買えるので「米」にこだわる必要は無いし、貧乏人の救世主もやしも使っていない…
最後は大ちゃんの父から江の島に誘われて終わります。夏の楽しい思い出が一つでもできたら良いと思っていたので救われた終わり方でした。
※表紙や挿し絵の美貴のイラストがちょいポチャなので貧困のイメージから遠いです。作品中ではずっとお腹が空いている美貴なのでもう少し痩せ気味の少女のイラストが良かったかも?(炭水化物ばかり食べているから太っているという生々しい表現なのかもしれませんが)
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八月のひかり
著者 中島信子
装画・挿絵 しらこ
著者 中島信子
発行者 小安宏幸
株式会社汐文社
2019年7月初版第1刷発行
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