2020年の4月に小学六年生になった理夢が主人公。
新型コロナウイルスが流行り出した時期で学校が休校になり、認知症でねたきりのおばあちゃんの介護を自宅でひたすら頑張るヤングケアラーの苦悩が書かれています。
この物語の根本的な「悪」は理夢のお父さんだと思う…お父さんは多分、人に嫌われるのが嫌だから誰にでも優しくするタイプ。
お父さんが勝手に別居のおばあさんを狭い団地の自宅に呼び寄せたせいで家族はバラバラになります。(自分は仕事で家にいないから気楽なもんです)
認知症のおばあさんに「泥棒」呼ばわりを毎日されたお母さんはお姉さんを連れて別居に走ります。これはお母さんは全く悪くない。
おばあちゃんのおむつ替えなどを頑張る理夢ですが生々しい描写が多いので可哀想になります。
団地内の友達の沙美も父がDV男で家庭内暴力をふるうと打ち明けられ理夢は自分の父は優しくて良かったと考えます。
沙美はコロナで母の給料が減ったため父の暴力が過激になったと語ります。幸いにも沙美は暴力の被害を受けていませんが、沙美の母と兄は被害者で気の毒です。
何度も挟まれるボーイズボーカルグループ「レインボーウルフ」の「有馬くん」の歌う歌詞「君が愛」がかなりうっとおしい…
認知症のおばあちゃん1人が増えただけで家族がバラバラになるという現実が書かれていました。
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あしたへの翼 おばあちゃんを介護したわたしの春
著者 中島信子
カバーイラスト しらこ
発行者 小安宏幸
発行所 株式会社汐文社
2022年1月初版第1刷発行
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