闘病記しか読みたくない

闘病記しか読みたくない管理人「つばめ」のブログです。日本中の闘病記が読みたい。悪趣味だと言われようが闘病記や病気をテーマにした本から感じ取れる生への記録に感動している毎日。本の紹介はネタバレを含みます。道端のポスターの写真等を撮るのも好きです。すべての写真は自分で撮影しているものです。

のこされた日記

1954年2月15日、マリオンとアーチボルト=トーブンの間に生まれた15歳の白人の女の子「キャサリン=アン=トーブン」が主人公。

キャサリンの「C」、アンの「A」、トーブンの「T」をとってキャット(CAT)という愛称を使用しています。

 

そのキャットが家出をし、自宅に戻ろうとしたカナダの高速道路で交通事故が元の大怪我で亡くなり、現場に残した日記が本書という設定です。

 

キャットは途中でシェパード系の犬「マイク」と出会い、一人と一匹で旅をします。ロマンがあって読み応えもあるのですが女の子一人旅は苦労の連続です。

 

ヒッチハイクではロビー=ロバーとルーシーに出会います。トラックに乗せてもらった時に後ろに少年がいることがわかります。この少年はぐったりしていて寝ている状態です。病名不明ですが相当具合が悪いであろうことがわかります。

キャットは「あの少年は死ぬだろう」とはっきり言い切っていました。

 

途中でテレサという親切な女性にも出会います。テレサの首には大きな腫瘍があり、いつも痛そうにおさえています。テレサのご主人が手術をし、その後亡くなったため、テレサは医者にかからないと決めた様子。

 

日記には過去の思い出も書かれています。

ハンク=ファリーという子のヒステリー発作や犬のひき逃げの事、仲良くしていたベネットさんの事など丁寧に書かれており、家出前も周りの人を良く見ていたという事がわかります。

 

長い家出生活のなか、キャットは体調が悪くなり、一人孤独と体調不良で闘っている際にある人が看護をしてくれている事に気が付きます。キャットをつけていたストーカーの様な人物だったのですが、キャットをひどい目にあわせるような事は一度もありませんでした。

キャットは新聞でその人が射殺された事を知り「どうして彼は私の世話をしてくれたのかしら」と疑問に思います。

彼は気ちがい(昔の本なので気ちがいという表現が使われています)で精神病院から脱走していた事がわかります。

恩人が死んでしまった為「ありがとう」をいう事すらできなくなりキャットは

「私にあたたかいスープをもってきてくれた人 もう死んでしまった ある精神病の人にささぐ」

という詩を作ります。

 

その後、自宅に戻ろうとしていたところでキャットは頭部にうけた交通事故の大怪我のため死亡。救いようがない終わり方でしたが家出中の出会いはキャットにとっての宝になったのではないでしょうか。

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のこされた日記

作者 マリリン=ハリス

訳者 熊谷伊久栄

発行者 今村廣

発行所 偕成社

発行 1981年10月1刷

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