闘病記しか読みたくない

闘病記しか読みたくない管理人「つばめ」のブログです。日本中の闘病記が読みたい。悪趣味だと言われようが闘病記や病気をテーマにした本から感じ取れる生への記録に感動している毎日。本の紹介はネタバレを含みます。道端のポスターの写真等を撮るのも好きです。すべての写真は自分で撮影しているものです。

アーモンド

アレキシサイミア(失感情症)の青年ソン・ユンジェが主人公。ユンジェは怒ったり笑ったり感情が感じられない特性を持っています。火傷をしたりしてもそこから学ぶ事は無く、何度も熱いやかんに手を伸ばしてしまうという恐怖や不快感も感じない状態です。

 

ある日、殺傷事件が起こりユンジェの母は頭部をハンマーで殴られ目を覚ます見込みも無くねたきり(アーモンド特設サイトでは植物状態と書かれている)になり、おばあさんは死んでしまいます。犯人は「今日、誰であろうと笑っている人は、僕と一緒にあの世に行きます」と無差別に人を殺害し自殺してしまいます。そんなむごたらしい事件を目の前で見ていてもただ見つめていただけのユンジェにぞっとしました。

 

不幸な事にユンジェには父もいません。ユンジェがまだ母のお腹にいるときに飲酒運転のオートバイが父の屋台に突っ込みその場で父は死亡してしまいます。

感情が無いからか、家族がいなくて寂しいとか悲しいとかほぼ書かれておらず、淡々と目の前の事だけを書いている文章が気の毒になります。

 

その後はゴニという少年と出会い、少しずつゴニと仲良くなる様子が微笑ましいです。ゴニもユンジェに関心があるようでいろいろちょっかいをかけているのが若者らしい。

 

唐突に出てきた女の子のドラは物語には不要だったかも…ドラの出現によりいきなり好きという感情がうまれてドギマギしていくのは今までの母やおばあちゃんの「何とか感情をもってもらおう」と頑張った努力がパッと出の女の子に負けてしまった事になります。

 

感情がないからこそ怪我をしたり辛い目にあったりする(本人は辛いとは感じていないのですが)ユンジェですがねたきりの母が急に意識を取り戻した時に目から涙が流れます。

母の意識を取り戻すタイミングが良すぎて本当は意識のないふりをしていたのでは?と思ってしまいました。

 

ユンジェの「これから」が書かれず終わってしまったので続編希望です。

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アーモンド

著者 ソン・ウォンピョン

訳者 矢島暁子

発行者 辻浩明

発行所 祥伝社

令和元年7月20日初版第1刷発行

令和3年1月20日第19刷発行

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