戦争中に中国で生まれ、旧日本軍に使われていたロバの一文字の人生が書かれています。
一文字は頭が良いので戦争でもうまく立ち回り生き延びていきます。深刻な戦争時代ながらも文章は明るいので悲壮感はありません。
一文字を可愛がっていた「ロバどの」と一文字とのやり取りが癒しになります。
その後は上野動物園で余生を過ごすことになりましたが動物園で仕事をもらったりして楽しく過ごして安心しました。
戦争中なので草食動物や肉食動物のごはんが減っていく様子が可哀想でした。ふかしいもを使ってクマを毒殺したり、ニシキヘビ、ヒョウ、ライオン、トラと次々殺されます。ゾウはついに餓死をしてしまいます。ゾウの餓死のお話は辛すぎる。
一文字は年をとり入れ歯を作ってもらった後、二年ほどして腸捻転で死亡します。戦争中で苦労の連続ではありましたが31才まで生きた一文字は幸せだったのではないでしょうか。
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いればをしたロバの話
著者 今西祐行
画 北島新平
発行所 株式会社金の星社
初版発行 1971年12月
第34刷発行 1982年10月
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