生後六か月目にしてデュシャンヌ型筋ジストロフィーと診断された金澤正和さんが主人公。表紙を見てわかる通り正和さんはかなりの美青年です。
この本は正和さんが大学一年の夏に書き残したエッセイに姉の絵里子さんが文章を追加してまとめてある本です。正和さんは2005年1月に亡くなるのですが、この本は正和さんの人生を姉の目を通してまとめられているという内容になります。
金澤家は母、姉二人、正和さんの四人家族。
最初から最後まで父親の影が見られず不思議に思いました。あえて書いてはいないと思うのですが父の存在がちらっともでてこないので不自然な雰囲気が漂います。
三人も子供がいるので父の存在はどこかしらにあるとは思うのですがなぜか父の存在が感じられず…
それでもパソコンを買ったり車を買ったり海外旅行に行ったり、子供を大学に通わせたりとお金がどんどん出ていくことをしているので財源がどうなっているのか不思議でした。
金銭的な問題で正和さんのヘルパーを雇えないと書いているのにもかかわらず使う金額が多いので親戚などの援助があったのかも?それともどこかにいる父親から援助があったのかな?
母親は正和さんの介護につきっきりで仕事をがっつりしている様子はないので財源が気になって仕方ありませんでした。
影武者(自分は本に出さなくて良いと言っていた)姉の悠子さんの援助だったのでしょうか?
父親の存在がものすごく謎で怖いのですが金澤さんが書きたくなかったのであれば仕方ないですね。絶対に父の事を書かなくてはいけないというわけでもないですし。
表紙のあたりに一ページ全部使って「私を正和の姉に生んでくれた母に感謝します」と書いてあるのですが…父は??父には感謝していないの?とモヤモヤが残りました。
とにかく介護を頑張っていたのは正和さんの母の喜代(ひさよ)さん。潰瘍性大腸炎という病気になり大腸を全摘出し人工肛門になりながらも三人の子供を育て上げました。
ただ学校にまでがっつり介護にいったりするのは正和さんにはきつかったかも…思春期になると母親がいつまでもベッタリ…というのは厳しいと思うので、金銭的な問題があるとは書かれていましたがヘルパーさん等をうまく利用した方がよかったのでは?と余計な心配をしてしまいました。
15歳の時に英語弁論大会という檜舞台に立ったり、海外旅行にいったり、高校生活をエンジョイしたり素晴らしく充実している人生を送っています。
その後は苦労して勉強し、ICU大学に入学。充実した大学生活を送っている中に亡くなるので気の毒でした。皆に愛されている事がわかる正和さんの人生でした。
----------
----------
----------
かわいくて、わがままな弟
著者 金澤絵里子
発行者 野間佐和子
発行所 株式会社講談社
2005年12月22日第1刷発行
----------
----------