闘病記しか読みたくない

闘病記しか読みたくない管理人「つばめ」のブログです。日本中の闘病記が読みたい。悪趣味だと言われようが闘病記や病気をテーマにした本から感じ取れる生への記録に感動している毎日。本の紹介はネタバレを含みます。道端のポスターの写真等を撮るのも好きです。すべての写真は自分で撮影しているものです。

トモよ!生命の海を渡れ 

渡辺郁男さんと渡辺ヤヨミさんの娘、末っ子の朋子さんがヨット(BOOⅢ世号)で航海をするという冒険本です。

娘の朋子さん(トモ)は筋ジストロフィーでIQは30以下、数字は10ぐらいまでしか数えられないという脳障害もあります。

 

郁男さんとヤヨミさんには四歳七か月で亡くなった長男の忠勝さんもいたのですが、トモさんと同じ筋ジストロフィーだったようです。当時は体の弱い子供はすべて「小児マヒ」と診断されていたとのこと。

ご夫婦が結婚された昭和34年代のお話なので「筋ジストロフィー」の診断ができる医師もいなかったのでしょう。トモさんも最初は小児マヒと診断されていました。

ちなみに忠勝さんの後に生まれた長女の郁子さんは障害を持つ事がなく健康に生まれています。

 

父母の愛情に包まれながらも家族三人はヨットで長い航海にでるという型破りな冒険が続きます。

郁男さんは家族の為に働き続け、お金持ちになっていましたが今までの財産も社会も捨て二千万円近いヨットを手に入れての冒険です。

1980年代の本なので、当時の二千万円はとんでもない金額なのではないでしょうか?

 

冒険話は素晴らしいのですが、筋ジストロフィーで体が弱いトモさんには冒険はきつかったのでは…思う描写が多々あります。

トモさんはしょっちゅう体調をくずして最後まで体調を崩しっぱなしです。

脳障害のため「イエスかノーか」もはっきり言えないトモさんなので狭くて揺れるヨットの中での生活はとても苦しかったのに伝える術が無かったのでは…と思ってしまいました。

 

今だったら「病弱な子どもを過酷なヨットの旅につれていくなんて」と炎上しそうなお話ですが当時のマスコミは好印象でとらえていた様です。

本文にマスコミ関連のお話がでてくるのですがどの放送局で流れていたのかは検索できませんでした。当時の映像等あれば見たいです。

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トモよ!生命(いのち)の海を渡れ 

著者 渡辺郁男 渡辺ヤヨミ

発行者 大和岩雄

発行所 大和書房

1981年6月30日第1刷発行

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