脳性まひのヴァイオリニスト式町水晶さんの母親、啓子さんが書いた手記です。
テレビなどで水晶さんを見た時にに名前は芸名かと思っていましたが本名なのですね。
水晶とかいて「みずき」と読みます。
この本はいわゆる子育て本なので「ウチの子どもは頑張ってるけどもっともっと頑張っている私」系のお話が目立ちます。
啓子さんの文章が上手いのでどんどん読み進められます。
頑張っているお母さんは好きですが、自分を犠牲にしてまで頑張るの人は嫌いなので「あれ?」と思った点もたくさんあります。
8ページからご自身がガンに冒されていることが書かれています。
それなのに
「今は彼がデビューするという、人生で一番の正念場です。これまで21年間、ともに歩んできて、今、私がそばにいないわけにはいきません。」
と手術をしない決断をされます。
えー?手術しなよ!!水晶さん21歳でしょ?
子どもじゃないんだからまずは自分のガンの治療に専念しなよ!
ガンの治療をしなければいけない母親を引き留める息子はいないでしょ?
ガンは早期発見早期治療で結果が変わってくるというのに…
「がんなんかに負けてられるか」と書いてありますが治療しなければ負けるのががんです。
せっかく発見されたがんの治療をしなかった事に対する後悔が後々出てくるとおもいます。
ご本人様が決めたことなのであまり言いたくありませんがみすみす生へのチャンスを逃すのはもったいなさすぎ。
啓子さんはご主人と水晶さんが生まれて約二か月で離婚します。
その離婚の理由も大人のエゴのぶつかり合いで感情的すぎました。
その後水晶さんが3歳になった時に衝動的に元夫に会いに行こうとして(会っているわけではない)元夫が再婚したことにショックをうけています。
そして10歳になったころに養育費が欲しいと電話しています。
自分から離婚を叩き付けといて自分勝手だな…と思いました。
啓子さんのこういう感情まかせのところが苦手な人は読むのツライかもしれません。
じっくり悩んで行動というよりはパッと動く方のため読んでいる方はひやひやしました。
「どうやったら、あんないい子に育つんですか?」
学校公演などに行くと、子どもを持つお母さんたちから、よくこんな質問をされます。
という一文に引っかかりました。
これ…いい子でいなければならないという雰囲気を水晶さんが感じ取って無理やりいい子でいたような気がしないでもない…
お母さんの性格のせいでいい子を押し付けて演じさせていた的な要素がありそう。
よその家庭の事なのであまり口出しはできないけど、まわりから見て完璧ないい子がいるご家庭って母親が押し付けだったりすることが多いですから…
考えすぎだといいけど。
水晶さんのヴァイオリン関連も詳しく書かれています。
ヴァイオリンはお金がかかるかかるとくりかえしていますが、実際にどれくらいの費用がかかったか等は書かれていないため書いてあると親切だったかも。
月謝がいくらかかった等もぼやかされていました。
読者としては月謝等どれくらい必要なのか知りたかった…
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脳性まひのヴァイオリニストを育てて ~母子で奏でた希望の音色~
著者 式町啓子
発行所 株式会社主婦と生活社
2018年4月16日1刷発行
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