顔面奇形のため顔が無い少年デイビッドが顔を手に入れる物語。
デイビッドは生まれた時には五体健全で健康でしたが、生後三か月ごろサンドフライ(ぶよ)に咬まれ、高熱を出し、日増しに症状が悪化。典型的なリーシュマニア原虫による症状に思われましたが、鼻から口にかけて内部の柔らかい組織と骨を破壊されてしまいます。
栄養不足で引き起こされる壊疽が直接の原因と思われます、と書かれています。(思われます、という事で実際には壊疽という病名ではないかもしれませんが他に病名が見当たらないため壊疽でカテゴリーにまとめています)
それによりデイビッドの顔は鼻と上あご上唇などがない状態となり顔の真ん中に穴が開いた状態という個性的な顔だちとなります。
よくネットにあがっている顔面の真ん中に穴の開いた「トゥミニさん」と同じ症状かも?
デイビッドはラッキーな事に顔面崩壊は途中で止まっています。
デイビッドの顔面崩壊に手が付けられなくなった両親がデイビッドを孤児院に預けたので親代わりとなるマージョリー・ジャクソンさんがデイビッドの世話に奮闘します。
デイビッドの手術の記録もあるにはあるのですが、途中からはデイビッドを自分の養子にしたいと頑張るマージョリーさんのお話になるので整形の記録は少な目です。
マージョリーさんの夫は医師なので裕福ではあると思うのですが、難しい性格であり、顔面奇形のデイビッドを養子にしようとする心意気がすごいと思いました。
デイビッドも結局は貧しい両親よりも裕福なマージョリーさんを親に選んでいるのでリアルでした…そりゃど田舎の貧乏暮らしよりは医者の息子の方が良いよね…
(デイビッドの本当の両親は決してデイビッドが嫌いで孤児院に預けたわけではないので顔面の整形が終わったら実家に戻ってもよかったのにデイビッドは医者の息子を選びます)
所々に顔面再生の写真が掲載されていますが、皮膚をのばしたりしている写真が凄いです。自分の皮膚で自分の顔を作っている感じがして感動でした。
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ボーイデイビッド 神様、この少年に顔を授けて下さい
著者 マージョリー・ジャクソン
訳者 沼尻素子 脇田馨
発行者 高濱宏次
発行所 KKダイナミックセラーズ
昭和63年6月26日初版発行
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