表紙は手術をしているブラック・ジャック。赤色が生々しいです。今回ピノコ誕生のお話が入っているので楽しく読めました。
第1話「畸形嚢腫」
ピノコ誕生のお話です。昔のピノコはなんだか大人びている感じ。ピノコの超能力がその後なくなってしまう所が残念です。
第2話「ピノコ再び」
ピノコが邪魔になったブラック・ジャックが結局はピノコを呼び戻すお話。腹膜炎の手術を自分でやろうとするブラック・ジャックが恐ろしい。せめて手元に電話を置いておくとか…(当時はスマホなんて無いし)
第3話「水とあくたれ」
マリー症で体が不自由になりやさぐれた有田少年が気の毒なお話。ピノコが水に落ちさえしなければ有田少年はもうすこし生きることができたのでは…ともやもやが残りました。
第4話「山猫少年」
小頭症の山猫少年オプーがひたすらかわいい。オプーのくれた魚がおいしそう。
第5話「殺しがやってくる」
ブラック・ジャックを助けるために自動車事故を起こしたピノコが健気です。うらみを買うのが慣れているブラック・ジャックが物悲しい。
第6話「されどいつわりの日々」
車にひかれた子猫を助けるためひたすら舐め続ける母猫と最終的には患者を死なせてしまった?(自殺なのでブラック・ジャックのせいではないですが)ブラック・ジャックの対比が見もののお話。交通事故を起こした桃田善江(ヒステリーの一種発症中)のやる気のない表情が悲惨。子猫を治したいと必死になっていた母猫と治りたいと頑張った子猫の大勝利です。
第7話「弁があった!」
縦隔気胸で苦しむキリコの父をブラック・ジャックが助けようとする話。キリコはスキをついて父親を安楽死させてしまいます。早とちりにもほどがある。キリコの妹さんがものすごく美人で驚き。
第8話「終電車」
ブラック・クイーンこと鈴木このみ(元は桑田このみ)さんが再登場。ブラック・クイーンの変わりに三尖弁閉鎖症の手術をやってのけたブラック・ジャックですがこのみさんと夫の中も治療していてすごい。
第9話「一っぴきだけの丘」
環境破壊されてしまった森で行き場所を失いかけている熊のタローを助けようとするブラック・ジャックが義理堅いお話。人と人間の内臓はかなり違うと思うのに熊の大動脈破裂の手術もこなすとはすごすぎる。
第10話「おとうと」
がんの兄を助けたい弟の心のやりとりが見どころのお話。ガン体質の家系がかなり恐ろしいですね。英三の息子の栄治が男前で素敵です。お父さんと輪郭は同じなのに顔の中身が違うだけでこれだけ男前になるとは。
----------
----------
著者 手塚治虫
発行者 三木章
発行所 株式会社講談社
1983年2月20日第1刷発行
----------
----------