表紙は横顔のブラック・ジャック。今回もブラック・ジャックはいろいろな出来事で奮闘しています。
第1話 「ふたりの黒い医者」
うち(自宅)にトラックが飛び込んできて背骨を折り、手足が不自由になった女性がドクター・キリコに安楽死を願うお話。もちろん子供達(息子と娘)は安楽死に反対です。
息子と娘の望み通りにブラック・ジャックが手術をし、女性の回復が見込める様子でしたが病院車とトラックが衝突して親子もろとも死亡します。
この女性はトラックに二度も衝突するという天文学的な確率の運の悪さを発揮しています。もしドクター・キリコが女性を安楽死させていたら息子と娘は死ななかったのにな…と思ってしまうバッドエンドでした。
第2話 「人形と警官」
交通人形に愛情を注ぐ警官の物語。人形を愛するあまりに信号無視で自動車にはねられ骨折等の重傷になりますが、信号無視を見逃してもらった恩でブラック・ジャックが警官を手術します。
警官だけでなく人形もなおしているブラック・ジャックの見どころが凄い。
第3話 「座頭医師」
ハリ治療をしている盲目の琵琶丸が登場。視覚障害がありながらもブラック・ジャックとすれ違った際に「外科医であること」を言い当てます。
琵琶丸は重症筋無力症の女の子にハリを刺すも、女の子は不安神経症でハリに拒否反応をおこしてしまいます。
最後に琵琶丸はブラック・ジャックの腸が弱い事を見抜きハリを打ちます。あっけにとられながらもすんなりハリを打たれたブラック・ジャックが可愛かったです。
第4話 「海は恋のかおり」
体のイレズミを消したい16歳の少年がブラック・ジャックを訪ねてきます。
如月先生の紹介という事でブラック・ジャックは昔を思い出し、まだ如月先生に未練があることがわかります。
タンカー火災により少年は全身火傷をおってしまいますが、火傷をおっていない人の皮膚で植皮手術をし一時的にイレズミは消えます。勝手に皮膚をはぎ取られた人がものすごく気の毒でした…私だったら見ず知らずの人に勝手に皮膚をはがれたら死ぬに死にきれない…
第5話 「鬼子母神の息子」
誘拐事件の主犯の女首領が自分の息子に刺され、身バレしない様に醜く整形をするお話。いくら女首領の息子が一番可哀想だからといって女首領を整形するのはなんだか違うんじゃないかなーと思いました。
女首領が誘拐事件を起こしたのは消せない事実なので息子に「母親は誘拐犯」という事実を受け止めさせた方が良かったような気がしますが…加害者家族として生きる覚悟を持った終わり方の方が後味が良い気がします。
第6話 「えらばれたマスク」
マカオからブラック・ジャックの父が電話をしてくる所からはじまります。ハンセン氏病の妻、蓮花を世界一の美女に美容整形をしてほしいという願いの為です。今は蓮花しか愛していないという父にブラック・ジャックは実母の顔を整形で作ります。
ブラック・ジャックのねじれたマザコンぶりが発揮されたゾッとするお話でした。
(ただ実母の顔はあきらかに美人なので蓮花にとってはラッキーだったかも)
第7話 「盗難」
ギッデオン伯爵の妻の義手と義足が盗難にあい、新たに作り直して欲しいという依頼からはじまります。
日本へのハネムーン時に落石事故により手足切断となった奥さんは熱心なブラック・ジャックに恋心を抱きます。ブラック・ジャックは無意識に女性をたぶらかしがちなので仕方ない。手紙が束になるくらいラブレターを書いていた奥さんですが、きちんと義手を使いこなしていて細かい作業もできる様になっている所が進歩です。
第8話 「お医者さんごっこ」
具合の悪いチャコがブラック・ジャックに治して欲しいと願うお話。兄の三太郎が友人?のキートンにブラック・ジャックを演じてもらうように頼み込みます。
キートンの頑張りを見たブラック・ジャックはチャコの病気は真菌炎かもしれないと睨み、手術する事になります。三太郎とキートンの友情も今後期待できそうです。
第9話 「鳥たちと野郎ども」
南イタリアのある村に来たブラック・ジャックがガス壊疽の少年トニオと会うお話。トニオは鳥に好かれ、家の中まで鳥でいっぱいです。トニオは鳥たちの機転で悪党たちから逃れられ、一命をとりとめるハッピーエンド。ではないかも、おじいさんは撃たれて死亡しているし家は燃やされているし。
第10話 「三者三様」
高校入試に落ちた青年と加藤清正が出会うお話。年齢はずいぶん離れていますが少しの時間で友情が芽生えています。
ガス爆発で両手と片足がもげた加藤清正の手術をブラック・ジャックが行い、少年が手術を見届け人生が前向きになります。
この少年は将来医者になると思うのでブラック・ジャックとそのうち会うこともありそうですね。
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著者 手塚治虫
発行者 野間省一
発行所 株式会社講談社
1980年4月20日第1刷発行
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