肢帯型筋ジストロフィーの正木宏さんの生涯を奥様の美帆さんが書いた本です。
筋ジストロフィーの型ははっきりせず、医師からたぶん肢帯型と診断されたと書かれているためここでは肢帯型と書いておきます。
メインは正木宏さんがボランティアで来ていた眞鍋美帆さんと出会い、愛を深める物語。
恋愛のお話はとても素晴らしいのですが、少し興味が持ちにくいかな…と言った印象をうけました。
全く知らない人の恋愛事情に興味が持てる人は別ですが、見知らぬ人の恋愛話はつまらないです…
(私は他人の恋愛話にそんなに興味が無いからそう思ったのかもしれません)
そして宏さんが聖人のように書かれている描写が多く、美帆さんが宏さんより下げられた表現が多く感じられてモヤモヤが残りました。
第4章が一番関心を持てました。
宏さんが自分の障害を意識し、どのように療養所で生きていたかが淡々と語られています。
この第4章を一番最初にして、そのあと宏さんと美帆さんの恋愛のお話に持っていくと自然と二人に関心が持てたので良かったかも。
もったいないのは「これから」という所でいきなりお話が終わった事。
あれだけ結婚話が出てきながら、その後のお話はあとがきに簡単に書かれているだけです。結婚後のお話を詳しく書かないのはもったいない。
2018年に満65歳10か月で宏さんは亡くなりますが、それまでに仕事をしたり車いすで海外旅行をしたり、息子をもうけたり、あとがきでの出来事の方がメリハリのある物語になりそうです。
巻末に写真も掲載されています。登山の様子や海外視察旅行、家族のひととき等があり家族生活も充実している人生という事がわかりました。
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青春の架け橋 ある筋ジストロフィー症の青年の決意
著者 正木美帆
発行者 蒔田司郎
発行所 清風堂書店
2020年5月3日初版第1刷発行
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